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講義No.11444

現場の声を聞いて実践する、これからの国際支援のあり方

貧富の二極化が進むパラグアイの現状

 南米のパラグアイは経済成長を続けています。経済成長に成功した理由として「メルコスール」という南米の貿易圏への加盟が挙げられます。メルコスールが関税を撤廃し、貿易自由化を促進したことで、人件費の安いパラグアイに海外企業の投資が進み、大きな発展を遂げました。
 その半面、富裕層と貧困層の二極化が進み格差が拡大しています。都市には近代的なビルが建ち並び、巨大なショッピングモールが建設される一方、農村部はインフラの整備が不十分であり、経済的に困難な状況にある家庭が数多く存在します。スラムもあり、スラム出身者が差別されたり、仕事が満足に得られなかったりと、多くの課題が残されています。

互いに利益を得る「互恵」の関係へ

 しかし、国際支援は、「恵まれないかわいそうな人たちを支援する」という思いで行うものではありません。支援する対象である貧困層や障がいのある社会的弱者の方々は、潜在的な能力が剥奪されている状況です。10人いれば10通りの才能があります。彼ら・彼女らから私たちが忘れてしまった心の豊かさや思いやりを教えられることが多々あります。それは一方的な支援ではなく「互恵」といえるでしょう。

国際支援の場では、何よりも対話が必要

 実際の支援の場ではさまざまな問題にぶつかります。例えば、生活を便利にするために村と村を結ぶ川に橋を建設しようとする時、その場所にあった先住民族の人々が大切にしていたご神木を不用意に取り除いて工事を進めてしまうようなことがあります。目に見えない文化規範などに配慮しなければ、その後も地域でコンフリクトが継続するでしょう。ご神木は先住民族の人々とコミュニティにとって大切なものだからです。支援する側とされる側では、物事を見るフレームがまったく異なることがしばしばあります。その差異、すなわちフレームが異なる、ということを踏まえたうえで、異なる価値観を有する方々と対話を重ねながら、互いを尊重した関係を築くことが、これからの国際支援には求められるでしょう。


この学問が向いているかも 人類学、国際協力、ジェンダーと開発学

横浜国立大学
都市科学部 都市社会共生学科 教授
藤掛 洋子 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 いろいろな分野の本をたくさん読んでください。自分の好きな分野、得意な分野の本を読むことはもちろん大切ですが、高校生のうちは多読を通し、異なる価値観や知らない世界を知る努力をしてください。漫画もいいでしょう。大切なのは多様な価値観を知ることです。
 本を読んだだけで何かをわかった気になってしまうと、そこに落とし穴があります。理論と実践の間には必ずズレがあります。実践することを通し、書かれたもの、あるいは理論とのズレを体感しましょう。本を読んで行動に移すことで、あなたの未来はより豊かなものになるはずです。

先生の学問へのきっかけ

 国際協力に関心を持つようになったきっかけは、ピューリッツァー賞を受賞したことでも知られるベトナム戦争での少女の写真です。子どもの頃に見て大きな衝撃を受けました。海外で働きたいという思いから、JICAボランティアに参加し、南米パラグアイにおいて農村女性や子どもたちの生活改善支援を行いました。世界には未だジェンダー問題がたくさんあります。同時に途上国の人々の力強さや可能性を強く感じました。人々が力をつけていくプロセスを研究したいという思いから、国際協力やジェンダーの研究を続けながら実践も続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学教員/中学・高校教員/行政(都庁、横浜市)/記者/アナウンサー/UR都市基盤整備公団/製薬会社/衣料品メーカー/JICAボランティア/NPO職員/航空会社客室乗務員/広告代理店/都市ディベロッパー・不動産会社

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藤掛 洋子 先生がいらっしゃる
横浜国立大学に関心を持ったら

 国公私立大 合同進学オンラインイベント「夢ナビライブ2021Web in Autumn」に、藤掛 洋子 先生が参加! 先生の講義ライブ動画を10月31日(日)までオンデマンド配信するほか、Zoomで先生に直接質問ができる「講義ライブ質問対応・研究室訪問」を10月3日(日)に実施。夢ナビライブは、600名以上の大学教授や200近い大学がさまざまなプログラムを実施する大型オンラインイベントなので、まずは「夢ナビライブ」で検索してください。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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