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講義No.11427

生活に欠かせない「摩擦」~トライボロジーへの誘い~

古代から活用されてきた「摩擦」

 潤滑や摩擦・摩耗・焼付きなど「摩擦を科学する」学問を「トライボロジー」といいます。古くから人類は摩擦を生活に取り入れてきました。石や木の摩擦から火をおこすというのも古代の人々が得た知恵です。文字を書く鉛筆、文字を消す消しゴム、物を固定するネジやクギなど、摩擦は身近なところで多く利用されています。

IT分野でも摩擦の技術が欠かせない

 パソコンやデータサーバなどに使われるハードディスクにも摩擦のコントロール技術が貢献しています。ハードディスクは回転する磁気ディスクの上を「磁気ヘッド」が揺動運動することにより情報の読み書きをします。磁気ディスクを回転させるための「回転スピンドル」および磁気ヘッドを動かす「揺動回転軸」は「軸受」と呼ばれる機械要素により回転支持されています。ハードディスクをより高速かつ正確に動かすためには、これらの回転で発生する摩擦力をいかに小さくできるかがポイントです。
 また磁気ディスクと磁気ヘッドの隙間が小さいほど、多くの情報が記録できます。小型のハードディスクにより大容量の情報を記録したいという要望から、ハードディスクの磁気ディスクと磁気ヘッドの隙間は年々小さくなり、現在では原子サイズオーダーまで小さくなっています。よって磁気ディスクと磁気ヘッドの間のしゅう動部における摩擦および潤滑特性がハードディスクの性能と耐久性を大きく左右します。

さまざまな摩擦をコントロール

 機械システムに使用されている部品が摩耗することなく運転するためには、しゅう動部に生じる摩擦は小さいほうが良いと考えられます。一方で、自動車などのブレーキ装置などでは生じる摩擦力は大きいほうが良いとされる場合もあります。時と場合に応じて摩擦をコントロールすることが求められており、まさにこの「摩擦のコントロール」がトライボロジー研究の目的であり醍醐味であると言えるでしょう。トライボロジーの研究は多岐にわたるため、機械の知識のみならず、物理や数学、化学などの幅広い知識が要求されます。


この学問が向いているかも 機械工学、トライボロジー、機械応用力学

東京海洋大学
海洋工学部 海洋電子機械工学科 准教授
藤野 俊和 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 私の研究室では「元気・勇気があること、失敗を恐れないこと」をモットーとしています。良い研究には多くの失敗がつきものです。高校生のうちから失敗を恐れず、何事にも挑戦する姿勢を大切にしてください。そして、学問の基礎はきっちり身につけておくことをお勧めします。
 大きなチャレンジも大切ですが、それと同じぐらい、基礎的な学力の積み重ねもとても重要です。高校生のあなたにできることは、毎日の授業をしっかり受けることです。日々の学習の積み重ねが将来の研究につながりますので、ぜひ頑張ってください。

先生の学問へのきっかけ

 幼いころから乗り物が好きで、「将来はエンジニアになって、自分の手で物をつくってみたい」と思っていたところ、大学でおもしろい先生との出会いがありました。先生から機械の設計や製図について学ぶ中で、「物を作るにはトライボロジーが大事だよ」という言葉に触発され、摩擦研究の立場から、ものづくりの世界に関わるようになりました。とはいえ、最初からトライボロジーを研究しようと決めていたわけではありません。ものづくりへの関心が、教授とのそして学問との出会いを導いてくれたのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

軸受メーカ・研究製造技術者/造船メーカ・設計開発技術者/船舶会社・海技士(機関)/公的機関の教員・研究者/自動車メーカ・設計開発技術者/プラントメーカ・設計開発技術者

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藤野 俊和 先生がいらっしゃる
東京海洋大学に関心を持ったら

 国公私立大 合同進学オンラインイベント「夢ナビライブ2021Web in Autumn」に、藤野 俊和 先生が参加! 先生の講義ライブ動画を10月12日(火)までオンデマンド配信するほか、Zoomで先生に直接質問ができる「講義ライブ質問対応・研究室訪問」を10月3日(日)に実施。夢ナビライブは、600名以上の大学教授や200近い大学がさまざまなプログラムを実施する大型オンラインイベントなので、まずは「夢ナビライブ」で検索してください。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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