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講義No.11404

はるかかなたの星の爆発が、地球をほんの少しゆがめる

水素原子1個分のゆがみ

 今から100年以上も前にアインシュタインは一般相対性理論を提唱し、質量を持つ物質はそのまわりの空間をゆがめ、物質が動くとゆがみは宇宙空間を波のように広がっていくと予想しました。これが重力波です。重力波が地球付近を通り過ぎると、地球も人もユラユラとゆがみます。しかしそのゆがみはあまりにも小さいので、実際の観測は難しいとアインシュタインは考えていました。

重力波望遠鏡で探る

 2020年に観測を開始した重力波望遠鏡「KAGRA」は、この小さなゆがみを検出することができます。長さ3kmのトンネル2本がL字型に交差し、交差部分から1つのレーザー光を分離してそれぞれのトンネルに飛ばして反射させ、交差部分に戻ってきた2つのレーザー光を干渉させて、その明るさの変化を精密に記録します。重力波が通過すれば2本のトンネルの長さが交互に変化するため、明るさに特徴的な揺らぎが含まれます。これを利用して重力波を見出します。
 ブラックホール同士の合体・衝突は、可視光などの電磁波では見えないので、重力波から得られる情報が唯一の手掛かりです。波に含まれる情報から、ブラックホールの質量などは解析できますが、それが宇宙のどの天体で起こったのかを突き止めることはできません。一方、中性子星同士の合体であれば、爆発して強い電磁波が出るので場所の特定が可能です。ただ、この爆発による可視光の増光は超新星の数十分の一で、継続期間も一桁短いため、観測は容易ではありません。2017年に欧米の重力波望遠鏡群で見いだされた重力波の到来方向の観測で、初めてそのような天体が見つかりました。

KAGRAの稼働による精度向上

 これまでは欧米の重力波望遠鏡で観測が行われてきました。1カ所だけでは位置精度が悪いために数カ所が同時に観測し、観測された時間差から影響を及ぼした天体の方向を求めています。これからは日本でKAGRAが稼働することでどの方向の重力波に対しても位置精度が上がり、新たな宇宙の謎が解明されることが期待されています。


この学問が向いているかも 物理学、天文学

広島大学
理学部 物理学科 教授
川端 弘治 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校の勉強の範囲では、自分が本当に知りたいことまで学べないケースがたくさんあります。例えば物理なら、ボールを投げた時の距離や速さを計算することはできますが、実際には空気抵抗や風があるのでその通りにはなりません。それらがどう影響するかまでは、残念ながら高校では学べないのです。
 このような疑問は、大学に入ると学べることもあるし、実はまだわかっておらず研究の対象になっていることもあります。高校の頃の疑問を、ぜひそのまま持ち続けて、それを解き明かすことを大学での目標にしてください。

先生の学問へのきっかけ

 住んでいた岩手県は星空が美しく、小学校低学年の頃には宇宙に興味を持ち始めました。中学生の頃には電子工作やパソコンが流行り、友達と一緒に簡単なゲームのプログラムを作って雑誌に投稿するのに熱中します。高校に入り、その先の進路を考えた時、電子工作やプログラミングは就職してもできるけれど、宇宙の研究は大学でないとできないと考え、宇宙が学べる学科を選びました。研究し始めると、宇宙観測にも電子工作やプログラミングの知識が役立ち、今までに夢中になったことが一つになって現在の研究につながっています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

宇宙機器エンジニア/光学機器エンジニア/システムエンジニア

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川端 弘治 先生がいらっしゃる
広島大学に関心を持ったら

 広島大学は社会に貢献できる優れた人材を育成し、科学の進歩・発展に貢献しつつ、世界の教育・研究拠点を目指す大学です。緑豊かな252ヘクタールという広大な東広島キャンパスを抱え、また、国際平和文化都市である広島市内等のキャンパスを含め、12学部、11研究科、1研究所、大学病院並びに11もの附属学校園を有しています。 新しい知を創造しつつ、豊かな人間性を培い、絶えざる自己変革に努め、国際平和のために、地域社会、国際社会と連携して、社会に貢献できる人材の育成のために発展を続けます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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