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講義No.11402

すぐ終わるはずが…… 想像を超えて拡大した第一次世界大戦

最初は局地戦

 第一次世界大戦(1914~1918年)は不思議な戦争といわれています。なぜ起きたのか、決定的な理由がないからです。ドイツ・オーストリア・イタリアの「三国同盟」とイギリス・フランス・ロシアの「三国協商」の対立から起きたというのは正確ではないと多くの歴史家は見ています。1913年にはドイツとイギリスが軍事同盟を結ぶ話もありましたし、当時は好景気で、戦争をする合理的な理由もありませんでした。「世界大戦」と呼び始めたのも1915年以降で、最初はセルビアとオーストリアの局地戦でした。それが、同盟や協商のつながりから参戦の連鎖を招き、仕返しの繰り返しで、結果として世界を二分する戦いになったのです。

数カ月のはずが4年以上

 戦争は夏に始まり、秋には終わると政治家たちは予想していました。それまでヨーロッパでは44年間戦争がなく、当時の西ヨーロッパの平均寿命は50歳程で、戦争経験者はほぼいません。その頃の戦争のイメージは数週間、長くても数カ月で終わるという19世紀の戦争のままでした。国民生活は普段通りで、兵士だけが関わるものだという考え方です。
 しかし、科学技術の進歩が、人間の想像をはるかに超え、戦争をやめられなくさせました。国際法を無視し、飛行機や爆弾投下装置、毒ガスなど兵器の開発合戦が進みました。そして一般市民を巻き込む総力戦となり、多数の犠牲者が出ました。すると、勝つまでやめるわけにはいかなくなったのです。さらに、参戦した33カ国を同時に満足させるような終戦の条件を見つけることができず、ずるずる4年以上続いてしまったというのが研究者の見方です。

社会を大きく変えた戦争

 第一次世界大戦は、人々の戦争観を変えました。1920年代から始まった研究は、戦争責任論が中心で、今も続いています。今後はヨーロッパ社会や民衆の意識をどう変えたのかが研究の大きな流れになるでしょう。医学が進展したのも戦争中ですし、社会を大きく転換させたという意味でも、研究テーマは尽きないのです。


この学問が向いているかも 歴史学、西洋史学

東海大学
文学部 歴史学科 西洋史専攻 教授
鍋谷 郁太郎 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校の教科は人間に深みを持たせる大事な教養になるので、長い人生の基盤になるといえます。なぜ数学や倫理を勉強するのかと思うかもしれません。私も高校生の頃そうでした。しかし、10代のうちに役立つとか無駄だとか判断せず、あらゆる基礎になると思ってください。例えば歴史学でも、自然科学の知識がないと理解できないことがあります。
 受験勉強で苦しいこともあるでしょうが、それを乗り越えると知の世界が広がり、全体を見渡す力が備わります。すべての教科を学び、自分が好きなことを深めましょう。

先生の学問へのきっかけ

 とにかく歴史が好きで、自分が生きていない時代の人々が何を考え、何を食べ、どんな生活をしていたのかに関心がありました。平安時代や奈良時代の暮らしに関する本をよく読んでいたのですが、大学で西洋史を選んだのは、ヨーロッパに対する憧れからです。最初は古代ギリシアの研究を考えましたが、何カ国語も習得する必要があり、断念しました。その頃、トレンドだったマルクスを原書で読みたくなり、ドイツ語を学んだことから、ドイツにおける国家構造の変化、第一次世界大戦の研究へとシフトしていきました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

新聞記者/教員(中学・高校)/美術館員/予備校教師/国家公務員/地方公務員/銀行員/出版社編集員

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鍋谷 郁太郎 先生がいらっしゃる
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 東海大学は、全国のキャンパス(湘南・代々木・高輪・清水・伊勢原・熊本・阿蘇・札幌)に19学部75学科・専攻・課程を擁する総合大学です。「文理融合」の教育理念のもと、副専攻制度として、主専攻はもちろん主専攻以外の興味のある分野についても自由に学べるカリキュラムを用意しております。
 文系・理系の枠にとらわれない教育によって、柔軟な思考力とバランスのとれた総合力を身につけます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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