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講義No.11399

離婚後の親子の健全な交流のための面会交流

離婚後は単独親権の日本

 日本では、離婚によって離れ離れになった親と子が定期的に交流するための「面会交流」という制度が、民法の家族法で定められています。日本では、離婚後の子どもの親権は、父親か母親のどちらかにしか与えられません。海外では離婚後も共同親権が認められる国がありますが、日本では単独親権となり、その80%以上を母親が持っています。面会交流は、裁判所の実務の状況を踏まえて2011年に民法に明記されました。日本の民法はドイツ民法から大きな影響を受けており、面会交流のあり方に関しても参考にすべき点があります。

ドイツでの面会交流の区分

 ドイツでは、民法で面会交流の支援について定められており、実務のためのガイドラインも存在します。行政との連携も緊密です。ガイドラインによると、ドイツの面会交流は専門職員による介入度合いによって3段階に分類されます。最も介入度合いが高いのが①「監督つき交流」です。非親権者が子どもに暴力を振るう可能性や子の連れ去りの危険がある場合に行われます。面会に監督者が立ち会い、必要であればカメラなどで監視します。面会中に何か問題が発生すればすぐに職員が介入できる形式です。次が②「狭義の付き添い交流」です。①のような事情はないけれども、父母間で協力体制の構築が難しい場合に行われます。この場合は職員がときどき様子をうかがいます。職員が親と一緒に子どもの相手をすることもあります。最も介入度合いが低いのが③「援助つき交流」です。受け渡しの支援やグループ形式での父母教育が行われます。

主に民間団体がサポートする日本

 日本の面会交流支援にはドイツのように統一的なガイドラインはありません。非親権者と子どもの交流は各地の支援団体(と一部の自治体)がサポートをしているのが実状で、統一された基準や資格もありません。日本における面会交流をドイツとまったく同じ区分にする必要はありませんが、各地でのサポートがより活発化してきたら、ドイツのように一定の類型化・均質化を図ることが望まれるでしょう。


この学問が向いているかも 法学

三重大学
人文学部 法律経済学科 准教授
稲垣 朋子 先生

メッセージ

 家族法は、時代の変化とともに見直しが必要になります。家族の形はここ数十年で大きく変わりつつあり、特に近年は法改正や裁判所の重要な判断が相次いでいます。しかし、残された課題も多く、例えば同性婚や代理母については難しい問題で、これから検討する必要があります。そうしたことに興味のある方は、一緒に学びましょう。
 また、文系・理系問わずどのような仕事につくのをめざすとしても、英語を使えると有利ですし、文章力や思考力を培う国語は欠かせません。高校生のあなたには、ぜひ今の勉強にもしっかりと取り組んでほしいです。

先生の学問へのきっかけ

 中高生の頃は英語を通して学ぶ、さまざまな国の文化・社会に関心がありました。国際的な仕事に憧れた時期もありましたが、まずは身近な日本の社会の仕組みを学びたいと考え、大学では法学部に進学し、講義を受けて惹かれた民法のゼミに所属しました。そのときはまだ明確に研究者をめざしていたわけではありませんが、ゼミで学ぶうちに極めたい思いが強くなりました。中でも価値観の対立が大きい家族法を選んだのは、三世代家族で育ったことも影響しているかもしれません。それ以降、現在に至るまで、親権に関する研究をメインに続けています。

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稲垣 朋子 先生がいらっしゃる
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 三重大学は、5学部を擁する総合大学です。教育・研究の実績と伝統を踏まえ、「人類福祉の増進」「自然の中での人類の共生」「地域社会の発展」に貢献できる「人材の育成と研究の創成」を目指し、学術文化の受発信拠点となるべく、切磋琢磨しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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