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講義No.11384

砂丘に林を? ウルシと蜂蜜? 森林の恵みを引き出せ!

「森づくり」を人間との関係から研究する

 森林は、人間が立ち入らないような原生的なものだけでなく、昔から薪(まき)や炭焼き用に利用されてきた雑木林、材木生産のために造成されたカラマツ林、災害を軽減するために造成された海岸林や防風林など、人々の暮らしに関わるものも多くあります。「森林生態学」では、森林の恩恵を受け続けるための「森づくり」を目標とし、森林そのものだけでなく、社会との関わりの中での造林研究が行われています。

砂丘に海岸林をつくるのは超難問

 江戸時代以降、大量の森林伐採、製塩などにより、冬季に強い季節風が吹きよせる日本海側を中心に各地に砂丘が発達しました。そのため内陸部の田畑や河川は、塩分を含んだ砂が風で運ばれ、甚大な被害を受けるようになりました。そこで防砂や防風、高潮防備や海霧を防ぐ防霧のため、クロマツなどの海岸林が植えられるようになり、「白砂青松」と呼ばれる景観をつくりだしました。また2011年の東日本大震災では、海岸林の減災機能も注目されました。しかし、塩分を含んだ砂浜での植林・造林は非常に難しい問題です。成長したクロマツの密度管理のための手入れ方法など、森林生態学でのさらなる研究が望まれています。

ウルシとミツバチ、人間との持続可能な関係とは

 漆器などに用いられる漆(ウルシ)の原料はウルシという木の樹液ですが、国内自給率が5%未満と低く、国産ウルシの増産が求められています。しかし過去のウルシ林の造成は勘と経験に基づいて行われてきたこともあって不明なことも多く、その造成・管理方法が研究されています。またウルシの種は「しいな(中身が空の種子)」が多いのですが、養蜂場の協力で、セイヨウミツバチのウルシの受粉への貢献が調査されました。その結果、ミツバチの巣箱から近い場所のウルシは受粉が促進され「しいな率」が低いことが明らかになりました。今ではウルシ蜂蜜の商品化も実現し、ウルシ林とミツバチ、人間のサステイナブルな関係が構築されてきています。


この学問が向いているかも 森林生態学、造林学、森林科学

岩手大学
農学部 森林科学科 教授
真坂 一彦 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 大学の研究では、「疑問に感じたことは自分で調べる」という姿勢を持ってほしいです。自発的に学んだことは、別の分野の研究でも生かす機会があります。
 特に森林生態学の研究では、森林だけでなく周辺の生物、人間社会が生態系のバランスを守りながら共存する方法を探っているので、いろいろな視点が必要となります。また郷土史など、歴史を知ることも重要です。こうした多様な視点から誕生したのが、養蜂の研究をウルシの生産技術向上に取り入れた研究です。誰も思いつかない大胆な発想が、学問の進化には必要なのです。

先生の学問へのきっかけ

 高校時代は山岳部に所属し、大自然に親しんだことから、生物にかかわることを勉強したいと考えていました。大学は入学後に学科を決める制度で、いよいよ進路決定の頃に、友人から「森林生態学」という学問があることを聞き、興味を持ちました。森林にはまだ知られていないことが多く、そのため森林生態学では研究対象が広くて、自由に研究する余地があるところが魅力です。また研究では野外の調査などもあり、いろいろな視点が必要となります。どの分野もそうですが、自分から積極的に動いて、学ぶ姿勢が大切です。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

林野庁・県庁 林務職員/大学院進学

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真坂 一彦 先生がいらっしゃる
岩手大学に関心を持ったら

 国公私立大 合同進学オンラインイベント「夢ナビライブ2021Web in Autumn」に、真坂 一彦 先生が参加! 先生の講義ライブ動画を10月31日(日)までオンデマンド配信するほか、Zoomで先生に直接質問ができる「講義ライブ質問対応・研究室訪問」を10月3日(日)に実施。夢ナビライブは、600名以上の大学教授や200近い大学がさまざまなプログラムを実施する大型オンラインイベントなので、まずは「夢ナビライブ」で検索してください。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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