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講義No.11383

貴重な自然を守る意識を育む「サスティナブルツーリズム」

人類の活動が地球環境に影響を与える時代

 近年、温暖化や洪水など地球規模の環境問題が各地で見られます。ここ数十年で人類による活動が自然環境に大きな影響を与えるようになってきて、「人新世」という新しい時代区分を表す言葉も生まれています。地質年代の区分において現代は、最後の氷河期以降を指す「完新世」という時代に含まれます。「人新世」は「完新世」に続く時代であり、人類の活動が自然界へ与える影響を抜きにして地球環境を語れない時代なのです。人類の活動により大量の生物の絶滅や温暖化が引き起こされ、地球のシステム自体が変化しつつあります。安定した平衡状態から不安定な状態に移行しているのです。

人口や経済開発の爆発的増加

 人類が自然環境に与える影響は、農耕を始めた約1万年前にまでさかのぼります。その影響の度合いが加速化したのは戦後の20世紀後半からです。各地で経済発展が実現して、医療の進歩により人々の寿命が大きく延び、人口が爆発的に増加しました。それにより、人類の活動が地球環境に無視できない影響を与えるようになったのです。これを「グレート・アクセラレーション」と呼びます。従来の自然保護や環境保護では対応しきれない時代なのです。

貴重な自然を考える機会としての観光

 観光には、自然と人々を結びつける媒介としての働きがあります。現在、最後の氷河の残る場所、またオーロラを観測できる場所として南極観光が人気を博しています。美しい自然を見て感動することは観光の楽しみのひとつですが、その自然は脆弱なものであり、場合によって奇跡的に守られていることを自覚することが極めて重要だと言えます。
 必要なのは、観光を通じて自然界の危機を意識させる発信です。地球自体が根本的に変わりつつある時代は、人類の未来もどうなるかわかりません。これからの観光にはレジャーとしての楽しみだけでなく、地球全体の自然を守る意識を育む役割も求められます。それこそが、持続可能な観光「サスティナブルツーリズム」なのです。


この学問が向いているかも 観光学、環境学

和歌山大学
観光学部 観光学科 准教授
Chakraborty Abhik 先生

メッセージ

 観光学は学問としては非常に新しい分野です。それだけに可能性がたくさんあると言えるでしょう。また地理学、人類学や経済学、文学などの分野とも関係する奥の深い学問です。独自の発想や視点があれば、それらを生かして研究することもできる、オープンな学問とも言えます。
 観光を学ぶ際には、本を参考にすることはもちろん大切ですが、現地を訪れて場所とのつながりを主体的に作ることが何より大事です。人との対話の中で観光への理解も深まり、新しい発想も生まれるはずです。

先生の学問へのきっかけ

 2007年に修士号を取得するために来日しました。当時は留学生として、アジアの国の環境問題に関心を持っていたので、日本と中国とインドを比較して研究をしようかと思ったこともありましたが、結局は地域規模でより深く検証することにしました。当初は河川流域の生態系を調べていましたが、自然とは国境に関係なく複数の地域に跨がるものであり、川と海と山は連続していることに気がつき、より広く自然をとらえる視点で研究をするようになりました。そこから観光に関した研究を始めるようになり、現在に至ります。

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Chakraborty Abhik 先生がいらっしゃる
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 国公私立大 合同進学オンラインイベント「夢ナビライブ2021Web in Autumn」に、Chakraborty Abhik 先生が参加! 先生の講義ライブ動画を10月12日(火)までオンデマンド配信するほか、Zoomで先生に直接質問ができる「講義ライブ質問対応・研究室訪問」を10月3日(日)に実施。夢ナビライブは、600名以上の大学教授や200近い大学がさまざまなプログラムを実施する大型オンラインイベントなので、まずは「夢ナビライブ」で検索してください。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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