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講義No.11378

「動かない点」に秘められた可能性 非線形問題を解く手がかりに?

「動かない点」が社会に貢献?

 コーヒーにミルクを入れてスプーンでかき混ぜると、コーヒーカップの中に少なくとも1カ所は動かない点が存在することが知られています。この動かない点を数学では「不動点」とよびます。また、駅や空港の案内図に書かれている「現在地」も不動点の例です。不動点はある操作によって変化しない安定した点であるため、さまざまな分野で応用がなされています。例えば、物体の運動や水温変化のような物理現象、人口変動、株価の変動のような社会現象の研究において不動点定理が使われています。

不動点を使って最小値を求める

 不動点定理が役立つ数学の例としては、凸最小化問題が挙げられます。これは、下に凸な関数である凸関数の最小値を求める問題です。数直線上で定義された関数の場合、関数のグラフを描いて最小値を求めることができますが、高次元の空間で定義された関数や、球面のように曲がった図形上で定義される関数の場合には、関数の最小値を求めることは簡単ではありません。そのような凸最小化問題について、考えている問題を不動点問題に変形することで見通し良く問題を解決できることがあります。

現実に近い非線形問題

 数学で取り扱う関数は、一次関数のようにグラフが直線になる線形と、二次関数のようにグラフが曲線になる非線形に分類されます。線形問題はシンプルで扱いやすいですが、現実世界で起こる現象を数学的に定式化すると非線形問題が発生します。例えば、東京とパリを結ぶ最短経路を探すために、地球儀上のパリと東京を連続な曲線で結ぶとき、測地線とよばれる曲線が現れます。平面上で考えるときは2点を結ぶ線分を使って問題を解くことができますが、地球のような球面上では線形の場合の手法が使えません。より現実に近い形で問題を解こうとしたとき、どうしても避けて通れないものが非線形問題なのです。


この学問が向いているかも 数学

東海大学
理学部 情報数理学科 教授
高阪 史明 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校で勉強する数学は、定理や公式を覚えて決められた時間内に問題を解くイメージが強いかもしれません。私が高校生だった頃、数学の教科書を読んで定理や公式の証明を理解することに多くの時間を使いました。大学で学ぶ数学は、概念の定義、定理や公式の証明などにより重点が置かれています。
 将来の夢をかなえるためにも、高校ではバランスよく勉学に励んでください。また、理想だけを追い求めるとうまくいかないときもありますので、あらかじめ別の道を用意しておくなど、現実的な方法を考えることも大切だと思います。

先生の学問へのきっかけ

 小学生の頃から「どうして星は輝くのか」、「なぜ雨が降るのか」など、自然現象に関心がありました。高校生の頃に、大学では宇宙の成り立ちや仕組みについて勉強をしたいと考えることもありましたが、数学を学べば極限を使って宇宙の果てが見えるかもしれないとも感じました。その後、紙と鉛筆を用いて自分の頭でしっかり理解できる数学を選ぶことにしました。数学の分野で証明された定理や公式は永遠に正しいという点が魅力的です。現在は非線形写像の不動点理論とその応用について研究を行っています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

教諭(中学校、高校)/金融業界システムエンジニア/情報系企業技術者

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高阪 史明 先生がいらっしゃる
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 東海大学は、全国のキャンパス(湘南・代々木・高輪・清水・伊勢原・熊本・阿蘇・札幌)に19学部75学科・専攻・課程を擁する総合大学です。「文理融合」の教育理念のもと、副専攻制度として、主専攻はもちろん主専攻以外の興味のある分野についても自由に学べるカリキュラムを用意しております。
 文系・理系の枠にとらわれない教育によって、柔軟な思考力とバランスのとれた総合力を身につけます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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