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講義No.11377

脳の治療を自動で制御! 数学やシステム開発で医療現場に貢献

低温療法に求められる自動化

 脳が損傷を受けたとき、治療では打撲などと同じように患部を冷やします。これを脳の低温療法といい、脳細胞などへのダメージを食い止めることが目的です。この低温療法は特に救急医療の現場に普及していますが、医療従事者が数十分おきに脳の温度を確認し、必要に応じて機械を操作して適切な温度を保たなければなりません。もし温度管理を自動化できれば、医療従事者の負担や医療コストを軽減できます。また、常にコンピュータで監視をして温度を管理した方が人力よりも精度が高いため、治療効果の向上が見込めます。

自動制御で医療現場の負担を減らす

 さらに温度だけでなく、脳の圧力や血流量などをチェックし、患者の状態に合わせて適切に保つための自動制御システムも研究が進められています。脳の圧力を変えるときは、血液中の浸透圧を変える薬を投与します。浸透圧が変わると水分の動き方が変化し、脳から余分な水を引き抜くことが可能です。その結果、脳内の圧力を調整できます。
 血流量を変えるときは、血液中の二酸化炭素濃度を変える方法が試されています。血管は二酸化炭素濃度が下がると収縮し、濃度が上がると拡張する特性があるからです。しかし血流量はまだ正確に機械で測定できていないため、医師の経験に頼っていた部分を可視化しなければなりません。自動制御を実現するためにも正確な測定方法の研究や、圧力と血流量の効果的なバランスの分析などが進められています。

柔軟な数学モデルが必要

 脳の生理状態を自動制御システムに把握させるためには、数学のモデルが必要です。モデルを作るときは微分積分、連立方程式など高校までで習う数学の知識も使われています。しかし脳はとても複雑な仕組みのため数式が膨大な量になり、条件が変わると解けなくなる場合があります。これを発散といい、解が無限大になってしまうのです。病気になると脳の状況は随時変化するため、柔軟性のある数学モデルの研究が求められています。


この学問が向いているかも 医工学

東海大学
工学部 医工学科 准教授
檮木 智彦 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校時代に決めた進路を一生歩み続けることは難しい、と感じる日が来るかもしれません。そんなときは、何を学びたくてその道を選んだのかを自分自身に問い直してみましょう。学びを義務のように考えるのではなく、楽しく勉強をしてほしいです。ときには周囲から「こうしなさい」と言われることもあるかもしれませんが、あなたの興味関心を大切にしてほしいです。
 もし医療工学分野に進む場合は高校で習う数学の知識もフル活用するので、可能であれば数学Ⅲまで勉強しておくと役に立つと思います。

先生の学問へのきっかけ

 高校の倫理の授業で「生老病死」というお釈迦様の言葉を知り、人間の一生の4つの状態すべてに関わりたいと思い医学部に進学しました。しかし私は医学の専門知識以外にも一般的な知識や機械や身体などの仕組みにも興味があったため、ズレを感じて悩んでしまいました。そこで卒業後の進路を理数系の研究者に変更し、制御工学の立場から医療に貢献する道を選びました。現在は脳の生理状態を自動制御するシステム開発などに取り組んでおり、医師以外にも「生老病死」に関わる手段があるのだと実感しています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

電機・情報系会社システムエンジニア/医療機器メーカーサービスエンジニア/エンジニア派遣会社(正規雇用) 組込みエンジニア/病院臨床工学技士/医療サービス会社臨床工学技士

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檮木 智彦 先生がいらっしゃる
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 東海大学は、全国のキャンパス(湘南・代々木・高輪・清水・伊勢原・熊本・阿蘇・札幌)に19学部75学科・専攻・課程を擁する総合大学です。「文理融合」の教育理念のもと、副専攻制度として、主専攻はもちろん主専攻以外の興味のある分野についても自由に学べるカリキュラムを用意しております。
 文系・理系の枠にとらわれない教育によって、柔軟な思考力とバランスのとれた総合力を身につけます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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