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講義No.11376

鉄棒で「あふる」って何? スポーツバイオメカニクスで運動を分析

スポーツの技を科学的に解明

 「スポーツバイオメカニクス」は、スポーツの技を科学的に解き明かす分野で、主に2つの視点があります。動作の外見を解析する「キネマティクス(運動学)」と、力やエネルギーの変化を計測する「キネティクス(運動力学)」です。例えば跳躍をキネマティクスで分析すると、床から足が離れるときに重心の上昇速度が上がるほど、高く飛べることがわかります。

「あふる」はどんな動き?

 よいパフォーマンスを発揮するための方法は、選手や指導者が経験を積み重ねて気づきます。抽象的なコツを科学的に解明すれば、経験の浅い選手や指導者にとっての力になれるでしょう。例えば体操競技の鉄棒には、「もっとあふりなさい」というアドバイスが存在します。しかし初心者には「あふる」とはどのような動作か見当がつきませんし、指導者もほかの言葉で説明することを難しく感じる傾向にあります。
 そこで重心と鉄棒をひもで結んだ振り子のモデルと仮定し、「あふり」をバイオメカニクスの視点で分析する研究が行われました。車輪という、鉄棒をつかんだまま大きく1周する技でシミュレーションすると、体の重心と鉄棒の距離を縮めて回転の勢いを増していることがわかります。つまり「あふり」とは、回転の勢いをつけるために鉄棒と重心の距離を縮める動きのことなのです。

自動採点システムへの応用

 スポーツバイオメカニクスを応用し、近年体操競技では自動採点システムの開発が進められています。まずキネマティクスでもよく用いられるモーションキャプチャで選手の動きをトレースし、3Dモデル化します。そのデータをもとにAIが技を認識し、さらに理想的な動きや角度などと照らし合わせて得点を算出するのです。もちろん試合中の選手にセンサーを取り付けるわけにはいかないので、事前にデータを集めて基準を作る必要があります。実用化されれば、自動採点システムで出た得点を参考にするなど体操界の審査システムに変化をもたらすかもしれません。


この学問が向いているかも スポーツ科学、スポーツバイオメカニクス

東海大学
体育学部 競技スポーツ学科 准教授
植村 隆志 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校で学ぶ数学や物理など、意外な分野もスポーツに結びついています。私自身、「この数式を覚えても一生使わないだろう」と思っていた知識が研究で必要になり、改めて学び直したことがありました。高校できちんと学んでおけば大学で新たな視点や分野を深めることができるので、目の前の勉強にしっかり取り組みましょう。
 スポーツがうまくなりたい、指導者になりたいなど、どんな動機でもかまわないので「バイオメカニクス(生体力学)」に興味を持つ人は大歓迎です。スポーツの技や人体の不思議を一緒に解き明かしていきましょう。

先生の学問へのきっかけ

 逆立ちなどをすることが好きだったので、小学生の頃から体操を習っていました。将来はスポーツトレーナーになりたいと思い、スポーツについて学べる大学に進みました。スポーツ医学などで身体の仕組みを知るうちに、普段の何気ない動作も物理法則にのっとっていることに気づきました。地球上では全人類が同じ物理法則の中で生きていますが、技や効果的な動きを上乗せすることで驚くほど高いパフォーマンスを発揮します。その仕組みを知りたいと思い、バイオメカニクスの研究に取り組み始めました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

教諭(高校)/スポーツ指導者/大学院進学(体育学・医学など)/大学事務職員/公務員(消防・警察)

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植村 隆志 先生がいらっしゃる
東海大学に関心を持ったら

 国公私立大 合同進学オンラインイベント「夢ナビライブ2021Web in Autumn」に、植村 隆志 先生が参加! 先生の講義ライブ動画を10月31日(日)までオンデマンド配信するほか、Zoomで先生に直接質問ができる「講義ライブ質問対応・研究室訪問」を10月3日(日)に実施。夢ナビライブは、600名以上の大学教授や200近い大学がさまざまなプログラムを実施する大型オンラインイベントなので、まずは「夢ナビライブ」で検索してください。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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