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講義No.11360

受精や胚発生の仕組みを探究し、優秀な家畜の生産に貢献する

生命のスタート地点を研究する

 生命の始まりは、精子と卵子の合体、すなわち「受精」の瞬間です。受精に関する研究は古くから行われ、さらにそれを人の手によって操作することも長い歴史があります。「人工授精」は、精子を子宮に注入し子どもを得る技術ですが、約240年前に犬を使った人工授精が成功しています。その後、多くの哺乳動物において人工授精が成功・普及しています。現在、日本で産まれる牛は、ほぼ100%が人工授精によって誕生しています。また、体外で精子と卵子を受精させる「体外受精」という技術も広く普及しています。

体細胞クローン技術の研究も

 人工授精や体外受精は、「精子と卵子が受精して子供となる」という自然の営みを、人の手によって起こす技術です。それに対して、「体細胞クローン技術」は、精子ではなく細胞を直接、卵子に送り込み、細胞を採取した個体のコピーを作る技術です。これは自然界では決して起こらない現象です。
 人工授精や体外受精は、家畜の生産に活用されるだけでなく、人の不妊治療などにも応用されています。一方、体細胞クローンは、家畜においても技術的な問題により、まだ実用化されていません。しかし、この研究と技術は、将来的には優れた家畜の増産を可能とし、すでに胚発生の仕組みの解明やiPS細胞の開発など生命科学の発展に大きく貢献しています。

胚発生に関わる遺伝子を見つける

 人工授精や体外受精の成功率を上げるための研究が進められています。例えば、体外受精した受精卵が効率よく発生し、さらに無事に着床するためにはどのような遺伝子が胚の中で発現する必要があるのかを解明する研究などです。それらの遺伝子を特定することで、胚発生や着床率の向上が期待でき、人の不妊治療への応用も可能です。生命のスタート地点の研究は、畜産と医学の双方に関わる重要な領域なのです。

参考資料
1:牛の繁殖・発生工学技術

この学問が向いているかも 発生学、発生工学、動物科学

岩手大学
農学部 動物科学科 教授
澤井 健 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校生のときは、自分がどんなことに興味があることを、ぼんやりとでもいいので見つけてほしいです。例えば、ニュースの中で少しでも気になることがあったら、調べてみましょう。「調べる」ことは、「そこに興味がある」ということですから、「自分はこんなことに興味を持っていたんだ」と気づくかもしれません。この気づきが大切なのです。
 現在は、情報がインターネット上にあふれており、ついついそれらをやり過ごしがちです。でも、少し立ち止まって自分の興味が何かに気づくことにも注意を向けてください。

先生の学問へのきっかけ

 大阪の会社員の家庭に生まれたのですが、子どもの頃から動物が好きで、牛を飼って暮らす生活に憧れ、北海道にある畜産が学べる大学に進学しました。ちょうどその頃、「バイオテクノロジー」という言葉が出てきて、生物学と工学が融合する研究分野があることを知り、興味を持ちました。なかでも、発生学を基盤として、体外で卵子や精子を操作する「発生工学」の研究に携わるようになりました。その後、畜産試験場の研究員などを経て、現在は大学で胚発生の研究と発生工学技術を利用した家畜生産に関する研究に取り組んでいます。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

畜産試験場研究員/地方上級公務員(畜産職)/胚培養師/大学博士研究員/畜産農家/畜産関連会社技術職

研究室
大学アイコン
澤井 健 先生がいらっしゃる
岩手大学に関心を持ったら

 国公私立大 合同進学オンラインイベント「夢ナビライブ2021Web in Autumn」に、澤井 健 先生が参加! 先生の講義ライブ動画を10月31日(日)までオンデマンド配信するほか、Zoomで先生に直接質問ができる「講義ライブ質問対応・研究室訪問」を10月2日(土)に実施。夢ナビライブは、600名以上の大学教授や200近い大学がさまざまなプログラムを実施する大型オンラインイベントなので、まずは「夢ナビライブ」で検索してください。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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