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講義No.11358

気象現象を画面上に立体表示する気象情報可視化ツールの開発

気象は立体での理解が必要

 天気予報で一般的に使われる天気図は、地上付近の気象現象を表しています。さらに詳しい気象状況を調べるには、上空の特定の高度や気圧面における気象現象を表した高層天気図が用いられます。気象現象の立体的な姿をイメージするには、この一定の高さごとの断面である天気図を頭の中で縦方向に重ね組み合わせていく必要があります。

「Wvis」で立体的に表示

 気象庁では、数値予報という気象に関する情報を毎日提供しています。これは、地球の大気を立体の格子に区切り、格子点ごとに気温や風などを計算したものです。この情報をコンピュータプログラムで読み込み、画面上で立体的に表示するものが「Wvis(ダブルヴィス)」という気象情報可視化ツールです。これで、頭の中で天気図を組み合わせなくても、画面上に表示された立体的な台風や前線などをあらゆる側面から眺められます。
 例えば、台風は地上付近だけの気象現象ではなく、上空まで続く立体的な構造をしています。台風の周りにある温かく湿った空気は中心付近に吹き込み、その風が中心に集まります。集まった風は行き場を失って上昇し、上空の冷たい大気に冷やされて雲ができます。そのため、台風の中心外側には「スパイラルバンド」と呼ばれるらせん状の雲が伸びていくのです。台風が接近し始めると雨が強まったり弱まったりするのはスパイラルバンドの影響です。

ジェット気流を把握する

 このツールは、航空機の運航支援に活躍します。航空機はどのルートでどの高さを飛ぶかの判断が、速さや燃料の消費に影響しています。また上空のジェット気流の周囲には乱気流が起きやすいことから、安全面でも現況の気象情報の把握は欠かせません。Wvisなら、一目で状況がわかるように、航空機の航跡と立体気象図を重ねて表示できます。さらに、航空機事故の際は必ず気象の解析が行われますが、山間部などでは観測データがない場合もあります。そのような場合にはWvisで状況を再現して可視化し、原因の推測に活用することもできるのです。

参考資料
1:台風の周囲の雲(スパイラルバンド)と降水量
2:台風の中心付近の風と暖湿気

この学問が向いているかも 工学、気象学

東海大学
工学部 航空宇宙学科 航空操縦学専攻 教授
新井 直樹 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 気象は正解のない学問だといわれています。工学的・理学的なものには真値(正しい値)がありますが、気象にはありません。予想はできるけれど、その通りになるとはかぎらないのです。それが気象学の面白さだと思っています。
 また、気象は暑い・寒い・風が強い・雨に濡れるなどの変化を、自ら体感することができます。毎日の生活を快適に安全に過ごすために役立つものなので、あなたにもぜひ、気象に興味を持ってもらえたらと思います。

先生の学問へのきっかけ

 秋葉原で部品を買って電子工作をするのが好きだったので、工学部に入学し、卒業して電気メーカーで回路の設計をしていました。その後、国立研究所でGPSに関する研究に携わり、研究の一環で南極観測越冬隊に参加しました。越冬隊は人数が限られるため、いろいろな仕事をお互いに手伝わなければなりません。そこで、気象観測を手伝うことになったのが気象の分野と出会ったきっかけです。帰国後に気象を勉強しても、なかなか立体的に想像することが難しかったことから、コンピュータ上に可視化するアイデアを思いつきました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

航空会社パイロット/気象会社気象予報士

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新井 直樹 先生がいらっしゃる
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※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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