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講義No.11331

植物の驚異の適応能力! 「プラスティシティ」ってどんなもの?

環境の影響を受けて姿や形を変える植物たち

 さまざまな植物の姿や形は、遺伝的な影響で決まると考えられがちですが、実は周囲の環境の影響も強く受けています。温度や光などの環境の変化により姿や形を変えることを「プラスティシティ(可塑性)」といいます。
 例えば、フクロユキノシタという食虫植物は、「ピッチャー」と呼ばれる落とし穴のタイプの捕虫葉をつくり、そこに小動物(虫)を落として消化します。実はフクロユキノシタは、温度が低いときは通常の葉、温度が25℃以上になると補虫葉をつくるという特徴があります。なぜこのような現象が起こるのでしょうか?

なぜ温度で葉の形が変わるのか

 温度が低いとフクロユキノシタの食料となる虫は活動していません。一方25℃という快適な温度になると、虫は活発に動き出します。つまりフクロユキノシタは、虫が飛んでいない期間は普通の葉をつくって光合成を行い、虫が動き出す温度では捕虫葉をつくって虫をつかまえるという、効率のよい栄養分の確保の方法を身につけているのです。こうしたフクロユキノシタのプラスティシティは以前から知られていましたが、どんなメカニズムで起こるのかは長い間謎のままでした。なぜならメカニズムを解明するためには、環境変化によってどんな遺伝子が発現しているかを調べなければばらないからです。

ゲノム解読でプラスティシティの謎に迫る

 しかし、近年、遺伝子の設計図であるゲノムの解読が飛躍的に進み、プラスティシティの謎に迫れるようになってきました。フクロユキノシタに関しても、日本の研究チームが初めて全ゲノムの解読に成功しました。その結果、普通の植物が生体防御という「守り」に使用していた遺伝子を、フクロユキノシタは「攻め」の遺伝子に転じて虫の捕食に活用しているという興味深い事実などが明らかとなりました。こうした新たな発見の積み重ねによって、植物のプラスティシティのメカニズムの解明が進んでいるのです。


この学問が向いているかも 農学、生物学、植物学、環境科学、遺伝学

東海大学
農学部 農学科 教授
星 良和 先生

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先生がめざすSDGs
メッセージ

 私はさまざまな植物を対象に、遺伝子レベルからの特性評価と環境保全に関する研究を進めています。研究では珍しい植物や最先端の機器を数多く扱います。また、東海大学熊本キャンパスの目の前には豊かな自然が広がり、農場や牧場、実習温室などもあります。こんなに恵まれた環境で植物について学べる大学はなかなかありません。
 学生にはこの環境を活用して、専門的な知識を得たり人とのつながりをつくったりしてほしいと思っています。体を動かすのが好きで、環境や植物に興味があるなら、ぜひ一緒に学びましょう。

先生の学問へのきっかけ

 私は子どものころよく祖父母の家を訪れて、豊かな自然の中で遊んでいました。その経験もあって「農業は人が生きるための根幹である」という意識を持つようになりました。高校時代は遺伝学に興味を持ち、遺伝学とも関係が深い農学部に進学しました。卒業後は、植物の分類を詳しく学ぶために理学研究科に進み、そこで恩師の影響を受けて食虫植物を研究することになりました。現在は「食虫植物」、植物の生育の基盤となる「ミズゴケ」、ビタミン豊富で食糧として重要な「キュウリ」の3つを研究の柱にしています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

植物園/大学教員/公務員/高校教員/緑化/種苗会社/食品会社/農業(自営)/研究員など

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星 良和 先生がいらっしゃる
東海大学に関心を持ったら

 国公私立大 合同進学オンラインイベント「夢ナビライブ2021Web in Autumn」に、星 良和 先生が参加! 先生の講義ライブ動画を10月12日(火)までオンデマンド配信するほか、Zoomで先生に直接質問ができる「講義ライブ質問対応・研究室訪問」を10月2日(土)に実施。夢ナビライブは、600名以上の大学教授や200近い大学がさまざまなプログラムを実施する大型オンラインイベントなので、まずは「夢ナビライブ」で検索してください。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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