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講義No.11306

ひまわりに期待~セシウムに汚染された土壌を植物で浄化する~

環境汚染や健康被害を及ぼす放射性セシウム

 福島第一原子力発電所の事故により放射性セシウムが大気中に放出され、広範な地域で土壌汚染が引き起こされました。放出されたセシウムが土壌や川に降り注ぎ、そこから家畜や魚に取り込まれ、それらを人間が食べることで健康被害が出ることが懸念されています。セシウムの半減期は、セシウム134が2年、セシウム137が30年と2種類がありますが、いずれにせよ自然に無害化するまでには長い期間を要します。

セシウムだけを吸収するタンパク質が必要

 セシウムを効果的に除去する方法として注目されているのが、汚染された土壌に植物を植えて、根から汚染物質を吸収させる「ファイトレメディエーション」です。基本的に植物が土壌内の物質を吸収するときは、タンパク質を使います。例えば、セシウムを吸収するタンパク質とカドミウムを吸収するタンパク質は異なるので、それぞれに合致したタンパク質を植物内で発現させる必要があります。セシウムは植物の生育に欠かせないカリウムと元素の性質が似ているため、カリウムを吸収するタンパク質を発現させると、セシウムとカリウムを両方同時に吸収してしまいます。これにより、土壌のカリウムが枯渇してしまい、その土地で農業ができなくなってしまいます。なので、セシウム特異的輸送体タンパク質を見つける必要があるのです。

ひまわりを使ったファイトレメディエーション

 研究の結果、セシウムだけを効果的に吸収する「ABCG33」と「ABCG37」という2種類のタンパク質が発見されました。酵母を使った実験でも、これらのタンパク質を発現させた場合にはセシウムの吸収量だけが増加し、その働きが証明されました。現在、ひまわりを使ったファイトレメディエーションを実現するべく研究が進んでいます。1年で成長するひまわりに「ABCG33」と「ABCG37」を過剰発現させ、そのひまわりを汚染された土壌に植えることで、効果的にセシウムの除去が可能になると期待されています。

参考資料
1:参考資料

この学問が向いているかも 植物生理学

岩手大学
農学部 植物生命科学科 准教授
ラーマン アビドゥール 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 グローバルに物事を考えるようにしてください。自分の国だけでなく、世界の人々と共同研究をすることで多くの問題はよりスピーディーに解決できるようになるでしょう。グローバルな仕事をするには英語力が欠かせません。研究の成果を国際的な学会で発表するときも、英語力が必要になります。
 そして、基礎研究を大事にしてください。基礎研究は地味で、将来何の役に立つかはわからないので、最初はつまらなく感じるかもしれません。しかし基礎研究は最も大事な研究です。それを忘れないでください。

先生の学問へのきっかけ

 バングラデシュのダッカ大学を卒業後、来日して神戸大学で植物生理学の博士号を取得しました。その後、アメリカのマサチューセッツ大学の研究員として植物の研究を続け、2006年10月より岩手大学に赴任しました。研究テーマは植物ですが、来日前には動物の研究もしていました。1986年に旧ソ連で起きたチェルノブイリ原発事故や、2011年の福島第一原発事故を経験して以来、セシウムなどの放射性物質による環境汚染を植物で解決できないかと考え、現在の研究を続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

農業会社研究員/特許会社弁護士/製薬会社研究員/製薬会社マーケティング/アプリ開発会社デベロッパー/農業会社指導者/公務員/大学研究員/高校教諭

研究室
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ラーマン アビドゥール 先生がいらっしゃる
岩手大学に関心を持ったら

 国公私立大 合同進学オンラインイベント「夢ナビライブ2021Web in Autumn」に、ラーマン アビドゥール 先生が参加! 先生の講義ライブ動画を10月12日(火)までオンデマンド配信するほか、Zoomで先生に直接質問ができる「講義ライブ質問対応・研究室訪問」を10月2日(土)・3日(日)に実施。夢ナビライブは、600名以上の大学教授や200近い大学がさまざまなプログラムを実施する大型オンラインイベントなので、まずは「夢ナビライブ」で検索してください。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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