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講義No.11302

石垣島のマングローブが支える共生システムを解き明かす

汽水域に生息するマングローブ

 マングローブとは、陸と海の境界、淡水と海水が混ざり合う「汽水域」に生えている樹木の総称で、熱帯や亜熱帯地域で見られます。多くの観光客が訪れる沖縄・石垣島では、マングローブの茂る河川を下っていくと、サンゴ礁や、海草・海藻が集まる藻場に出ます。人間が生活や農業、工業で使った水は、下水処理場で浄化されてから川や海に流れていきますが、大雨で畑にまいた肥料が土砂と一緒に川に流れ込んでしまうなど、浄化しきれないケースもあります。マングローブやサンゴが生きる沿岸部は、陸からの負荷が集まりやすいのです。

見えてきたマングローブの役割

 沿岸部に急激に土砂が流れ込むと、海水が濁り、サンゴと共生する褐虫藻が光合成できなくなり、サンゴが弱ってしまいます。また、土砂に含まれる窒素やリンによってプランクトンが大量発生し、富栄養化を引き起こしてしまいます。マングローブは、こうした陸からの負荷を受け止め、過剰な量が海に流れ込むのを防いでいます。
 2007年から約10年間行われた、石垣島のマングローブ林の調査では、潮の満ち引きや雨の前後などでの水質の変化が分析されました。そこでも、マングローブが陸からの負荷を和らげていることが証明されました。コンクリート護岸の河川では、雨が降ると急激に水が濁り、水中の浮遊土砂量が増大しましたが、マングローブのある河川では、水は緩やかに濁り、ピーク時の浮遊土砂量も、コンクリート河川と比べて低くなっていたのです。

マングローブから考える、人と自然との共生

 石垣島では、マングローブを巡るエコツアーが人気です。一方で近年、川や海に流れ込んだプラスチックごみが、生態系に及ぼす影響が心配されています。島のマングローブからも、プラスチックが砕けて小さな粒となった「マイクロプラスチック」が見つかっています。その影響を調査で明らかにし、どのようにして観光業と自然保護を両立させるのかなど、人と自然との共生について考えていく必要があります。


この学問が向いているかも 環境工学

東海大学
建築都市学部 土木工学科 准教授
寺田 一美 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 大学受験などで、いろいろ心配なこともあると思いますが、自分の心が動くもの、好きなものに一生懸命取り組んでください。勉強でも仕事でも、嫌々やらされていると面白くありませんが、少しでも自分が好きだったり、興味があったりすることなら、ここぞという時に頑張ることができます。
 「自然を守りたい」といった大きなテーマでなくても、「動物が出てくるゲームが好き」など、興味があることから広げたり、深掘りしていったりすれば、あなたの強みになり、将来の仕事にもつながります。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃から動物や自然が好きで、獣医になりたいと思っていました。高校時代には、「生き物を取り巻く環境を良くしたい」と思うようになり、大学は理学部物理学科に進学しました。大学では「広く地球のことを考えてみよう」と宇宙理論を学びました。大学院に進む際には、数式を扱うよりも、フィールドで調査する方が自分に合っているのではないかと考え、木が好きだったことからマングローブの研究室を選びました。現在は、水を媒介とした、マングローブやサンゴなど動植物のつながりの研究に面白さを感じています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

公務員(都市・土木)/建設業/コンサルタント/大学院進学/水コンサルタント/水道事業/環境アセスメント

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寺田 一美 先生がいらっしゃる
東海大学に関心を持ったら

 国公私立大 合同進学オンラインイベント「夢ナビライブ2021Web in Autumn」に、寺田 一美 先生が参加! 先生の講義ライブ動画を10月31日(日)までオンデマンド配信するほか、Zoomで先生に直接質問ができる「講義ライブ質問対応・研究室訪問」を10月2日(土)に実施。夢ナビライブは、600名以上の大学教授や200近い大学がさまざまなプログラムを実施する大型オンラインイベントなので、まずは「夢ナビライブ」で検索してください。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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