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講義No.11281

人口が減る都市と建築の計画 そのカギは「リデザイン」?

戦後の焼け野原の復興に向けて

 建築計画学は第二次世界大戦後の日本で発達した学問です。戦争で焼け野原になり、住宅はもちろん、学校、病院などの公共施設が不足していた頃に誕生しました。不足する建物を急いで大量につくる必要があり、どんな学校をつくるのかなどを考える余裕はありませんでした。そこで登場するのが「標準設計」です。標準設計があると、全国で同じ建物をすぐに建てることができます。学校は鉄筋コンクリート造で、教室の大きさなどの標準モデルも定められました。また、住宅におけるDK(ダイニングキッチン)も、この頃の建築計画学が考案したものです。

前提がくずれた都市と建築の計画

 1960~70年代になると、戦後のベビーブームで生まれた団塊の世代の若者が大都市に押し寄せました。住宅不足を解消するために、各地にニュータウンが作られました。ニュータウンは都市計画と建築計画学が協力してできたのです。このように20世紀の都市や建築の計画は人口が増えること、たくさんつくることを前提にしていました。しかし日本では2008年頃をピークとして人口が減り始めています。これまでの計画理論の前提が崩れたのです。人口が減り、高齢化が進む日本で、都市や建築はどうあるべきか、新たな理論と実践が求められています。

リデザインで既存の建物と地域のニーズをつなぐ

 新しい地域や建築の計画のヒントが石川県小松市にあります。廃れたお寺を再生して高齢者、障がい者、子どもなど地域の人が集まる場所にしたのです。お寺の旧本堂で高齢者のデイサービスを行うほか、障がい者の雇用も生み出されており、地域コミュニティの中心となっています。このように既存の建物を現在の地域のニーズとつなげるのが、「リデザイン」です。ヨーロッパの建物には築100年以上のものが多くあります。それらは時代のニーズに合わせてリデザインされ、使われ続けています。21世紀の日本の建築もリデザインが主流となっていくでしょう。そのお手本は、ヨーロッパの古いまちにあるのです。


この学問が向いているかも 建築学、建築計画学、都市計画

金沢大学
理工学域 地球社会基盤学類 教授
西野 辰哉(達也) 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 海外に行くと、改めて、日本は安全で生活の質も高くて、いいなと思います。英国の大学には世界中から留学生が集まっているのですが、日本人は少ないです。そういうとき、日本は世界から取り残されている感じもします。世界の情勢や常識を知らないと、海外諸国の人との交渉や調整がうまく運ばないからです。また、なにかを創造するには元となるネタが必要なので、そのために頭の中に引き出しをたくさん持つことが重要です。実際に世界を見ることで、アイデア・リソース(資源)の引き出しを増やしてほしいと思います。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃は絵を描いたり、工作をしたりするのが好きでした。そういうこともあって、大学の学科は建築を選びました。数学や物理の問題には唯一の正答がありますが、建築デザインにはありません。100人学生がいれば、100通りの答えがあります。自分は正答を出すのが得意だったので、設計課題で「ここに学校を建てなさい」と言われても、最初はどうすればいいか戸惑いました。そうしたときに、デザインの指針を論理的に提示する建築計画学に出会い、そのわかりやすさに感銘したのが、この学問に進んだきっかけです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

建築設計事務所/ハウスメーカー/ゼネコン/官公庁都市計画/コンサルタント

大学アイコン
西野 辰哉(達也) 先生がいらっしゃる
金沢大学に関心を持ったら

 金沢大学は150年以上の歴史と伝統を誇る総合大学であり、日本海側にある基幹大学として我が国の高等教育と学術研究の発展に貢献してきました。本学が位置する金沢市は、日常生活にも伝統文化が息づき、兼六園などの自然環境に恵まれ、学生が思索し学ぶに相応しい学都です。江戸時代から天下の書府とも呼ばれ、伝統の中に革新を織り交ぜて発展してきた創造都市とも言えます。「創造なき伝統は空虚」との警句を胸に刻み、地域はもとより幅広く国内外から来た意欲あるみなさんが新生・金沢大学への扉を共に開くことを期待しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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