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講義No.11275

タコの生態を解明して、海洋資源を守る?!

日本人が大好きなタコだけど

 日本は世界一のタコ消費国であり、2000年頃までは、世界のタコ消費量の半分近くを日本が占めていました。しかし、現在では世界的にタコの需要が増えつつあり、供給量が足りなくなっています。日本でも漁獲量が減っているため、水産資源の保全とともに、養殖の可能性が模索されています。しかし、タコの生態に関してはまだまだわからないことが多く、人工繁殖も非常に難しいのが現状です。

タコの子どもは謎だらけ?

 タコの繁殖が難しいのは、卵から成体へと成長するまでの生活史、特に子ども時代の生態について、ほとんど解明されていなかったからです。例えばマダコは、卵から生まれたときは2mmほどの大きさで、海中を浮遊するプランクトンとして暮らしているため、自然の中での暮らしぶりを知るのは難しいのです。
 近年わかってきたことは、海中を浮遊する子どものタコは泳ぎがうまくないため、泳ぐために適度な水流が必要であること、また、成体のタコはカニや貝類などを食べるのに対して、子どものタコは特にカニの幼生を好んで食べることなどがあります。これらを応用して、ようやく日本でタコの子どもを飼育できる技術が開発されました。しかし、いつ頃から食べるエサが変わるのか、貝を食べる捕食能力や敵から隠れて身を守る能力をいつどうやって獲得するのか、流れ着いた場所からどう移動し、成長して戻ってくるのかという「分散・回帰戦略」などについては、まだはっきりわかっていません。

生態と生活史を知り、環境を守る

 タコ・イカなどの頭足類をはじめ、身近な水産生物であっても、実はその子ども時代は解明されていない場合のほうが多いのです。タコの生態や生活史を知ることは、タコを飼育する上で重要な情報となり、それが養殖の手法に生かされつつあります。しかし、大事なのはそれだけではありません。自然の中で生きているタコがどう暮らしているのか、どういう環境で快適に生活できるのかなどが解明されることは、天然資源と環境の保全にもつながるのです。

参考資料
1:イイダコの生活史
2:マダコの生活史

この学問が向いているかも 生物学、水産学、増殖生態学、保全生態学

東京海洋大学
海洋生命科学部 海洋生物資源学科 准教授
團 重樹 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 進路選択には迷いもあると思いますが、「好きだから」という理由だけで選んでもいいと思います。東京海洋大学には、海洋生物にとても詳しい人が入学するイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。
 農学と水産学とで迷って、「どちらかというと好き」というような、漠然とした選び方でも構いません。そこまで好きではなかったのに、学ぶうちにどんどん好きになっていくということもあるものです。やってみないと魅力がわからない部分もあります。自分の興味を幅広くとらえて進路を考えてみましょう。

先生の学問へのきっかけ

 私は子どもの頃から釣りが好きで、水にすむ生物も好きだったことから、自然と水産学の道へと進みました。大学卒業後は大学院には進まずに、カニの子どもなど水産生物を育てる研究機関に勤めました。生物を飼育していると、なかなかうまくいきません。どうやったら死なせずに育てられるのだろうと試行錯誤しましたが、飼育できるようになっていくと、そこにはこれまでに見たことのない世界が広がっていました。生物の生態への興味がふくらみ、飼育と生態解明の両輪を研究のテーマとすることにしました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

都道府県水産試験場研究員/都道府県水産普及員/水処理会社研究開発職/医療関係営業

研究室
大学アイコン
團 重樹 先生がいらっしゃる
東京海洋大学に関心を持ったら

 東京海洋大学は、全国で唯一の海洋にかかわる専門大学です。2大学の統合により新しい学問領域を広げ、海を中心とした最先端の研究を行っています。海洋の活用・保全に係る科学技術の向上に資するため、海洋を巡る理学的・工学的・農学的・社会科学的・人文科学的諸科学を教授するとともに、これらに係わる諸技術の開発に必要な基礎的・応用的教育研究を行うことを理念に掲げています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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