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講義No.11258

古代のリアルに迫る、石器作りの「実験考古学」

石器作りで、古代がリアルに見えてくる

 考古学は、遺跡や遺物などを手掛かりに古代の人の営みを明らかにします。実験考古学とは、考古学におけるアプローチとして確立した新しい分野の一つです。古代の人が実際に使った素材や道具、技術をもちいて過去の道具を作ったり使ったりすることで、失われた過去の人々の行動を残された痕跡を手掛かりに明らかにします。石器を作ると、書物では学べない、多くの発見があります。硬い石や鹿の角を使って原石をたたいて形を整えますが、石の種類やたたく角度、力の入れ方などで割れ方が異なり、石選びや技術をどのように習得したかなど、当時の人々の生活ぶりをより鮮明にイメージできます。1万年の時を超え、リアリティーを持って古代を追体験できるのです。

時を超え、未来への影響も考えた研究

 文字がない石器時代の実情は遺物によって考察するしかありません。特に旧石器時代初期の遺物については、人工物か自然物かの議論があるほど判別が難しいケースがあります。また、黒曜石のように風化しにくい石材もあり、現代に作られた石器が遺物と間違われることもあるため、再現した石器は確実に処分しなければなりません。石器製作者が多いアメリカでは、ここ数十年の間に複製品が遺物資料に混在していた事例も起きています。石器を製作して研究することが、未来の研究に悪い影響をもたらすことないように、考古学者にはモラルが求められるのです。

自然科学的な検証も踏まえ、総合的な解明へ

 これまでの遺跡調査は、専門分野別に検証されることが多く、解明は断片的でした。その課題を解決するために、地質学、保存科学、動物考古学、植物考古学、木材学、生化学、分析化学などによる、学際的な研究組織によるプロジェクトが進んでいます。令和2年からは、山形県南陽市にある北町遺跡をフィールドとして、動植物化石のDNA調査、地質のボーリング調査などが実施され、当時の環境などを含めた総合的な解明が進んでいます。これらの研究によって、よりリアルな古代の解明につながっています。


この学問が向いているかも 考古学、実験考古学

愛知学院大学
文学部 歴史学科 准教授
長井 謙治 先生

メッセージ

 高校までの勉強は、たいていは用意された答えを探し求めるものです。大学の学びの多くについては、森羅万象に対する問いの発見であり、答えのない世界に対する終わりなき学究です。知的好奇心を磨き、「なぜ?」という疑問を持つようにしましょう。もちろん、基礎学力がベースになるので、高校までの学びは非常に大切です。
 大学では、論文を読んだり書いたりするので、英語力も磨きましょう。さらに、文系であっても、論理的な思考力を養う数学が生きてきます。こうした意識を持って学ぶことにより、将来への道が広がっていくでしょう。

先生の学問へのきっかけ

 小学6年生の遠足で行った古墳でひとかけらの土器片を拾いました。時を超えて古代にタイムスリップしたような気分になり、感動し、考古学に興味をもちました。中学時代、日本に旧石器時代があったことを発見した相沢忠洋氏の読書感想文を書き、それが内閣総理大臣賞を受賞、その授賞式で相沢先生の奥様とお会いしたことが、考古学研究の道を究めようと思うきっかけとなりました。学生時代は古代の遺物拾いに夢中になり、17歳で初めて石器をつくりました。大学・大学院で本格的な学びと、石器研究の奥深さに魅了され現在に至っています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

博物館学芸員/市町村教育委員会職員/発掘調査技師/考古調査士

大学アイコン
長井 謙治 先生がいらっしゃる
愛知学院大学に関心を持ったら

 愛知学院大学は、建学以来、時代の要請に応えながら社会に貢献できる人材を育成してきました。130年を超える歴史を通じて受け継がれてきたのは、人間性を重視する仏教精神です。禅の教えをもとに「行学一体」の人格形成に努め、「報恩感謝」の生活のできる社会人を育成することを建学の精神としています。9学部16学科+短期大学部で構成された中部地区有数の規模と伝統を誇る総合大学。日進・楠元・末盛と2014年4月に名古屋都心部に開設した名城公園の4つのキャンパスで12,000人の学生が学修・研究に励んでいます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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