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講義No.11253

流体のコンピュータ・シミュレーションの正しさを示すには?

ナビエ・ストークス方程式

 身の回りにはさまざまな「流れ」に関する現象が起こっています。川や潮流、飛行機を浮かせる揚力、F1カーが走行する時に地面に押し付けられる力は、すべて流れによる現象です。これら流れの現象は、粒子の移動であるととらえられ、その移動は偏微分方程式であるナビエ・ストークス方程式で書き表せることがわかっています。

数学的に保証する

 流れに関する自然現象についての理解や予測をしたい場合には、現象を表すモデルを作り、それに基づいてコンピュータによる数値シミュレーションを行います。モデルはいったんナビエ・ストークス方程式で書き表した後に、コンピュータで計算するために連立一次方程式に変換します。コンピュータは一次方程式でないと計算できないからです。この時の変換の仕方によって、違った連立一次方程式ができ上がり、シミュレーションの結果は変わってしまいます。そのために、選んだ変換方法が数学的に正しいという保証が必要になります。
 ナビエ・ストークス方程式による解を「厳密解」、変換した一次方程式を使って得られた解を「数値解」とします。一定の間隔の時間や空間の数値を代入して計算するため、数値解は近似値で出されます。一般的に間隔が広ければ近似の精度は荒く、細かければ精度が良くなります。そこで、「もし間隔を極限まで細かくしたら数値解は厳密解に極限まで近づく」ということを証明したものを、シミュレーションの数学的な保証としています。

さまざまな事象の計算方法を考える

 シミュレーションに対して数学的な保証をつけることで、このシミュレーションは信頼性が高く、高性能なスーパーコンピュータを使ってさらに研究を進める価値があるという判断ができます。実際の流れの様子は視覚で確かめにくいため、詳しい解析は数値シミュレーションに頼らざるを得ません。そのためには、さまざまな現象に合わせたモデルの構築が必要であり、それぞれをさらに精度良く解くための計算方法を生み出す研究が進められています。

参考資料
1:たつまき?
2:バブル?

この学問が向いているかも 数学、数理学、数値解析学

金沢大学
理工学域 数物科学類 教授
野津 裕史 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 最近AI(人工知能)や機械学習が話題になっています。それらを支えるのが数学です。数学は得意でなくても、プログラミングは好きだという人もいるかもしれません。プログラミングは上から順番に書き記していきますが、その過程は数学と同じです。計算するだけでなく、論理を積み重ねるというのも数学の素養なのです。
 一昔前までは高校数学まで多くのことを理解できましたが、今はもう少し先まで必要になっています。数学はとても役に立つ学問なので、ぜひ前向きに取り組んでください。それがあなたの未来を拓くと信じています。

先生の学問へのきっかけ

 高校の頃は数学が得意だったので、大学は数学科に入りました。しかし、高校までの数学と大学の数学はまったく違っていて、世の中の役に立つのかがわからなくなってしまいました。4年生の時に、コンピュータで得られる結果の数学的な解析を専門にされている先生に出会い、そこで初めて数学が役に立つことを実感できたのです。卒業後は一旦、高校教師として就職しましたが、数学とコンピュータを用いて不思議な現象を解明する楽しさを諦めきれず、1度しかない人生だからやりたいことをやろうと決心して、大学での研究の道に入りました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

企業の研究所員

大学アイコン
野津 裕史 先生がいらっしゃる
金沢大学に関心を持ったら

 金沢大学は150年以上の歴史と伝統を誇る総合大学であり、日本海側にある基幹大学として我が国の高等教育と学術研究の発展に貢献してきました。本学が位置する金沢市は、日常生活にも伝統文化が息づき、兼六園などの自然環境に恵まれ、学生が思索し学ぶに相応しい学都です。江戸時代から天下の書府とも呼ばれ、伝統の中に革新を織り交ぜて発展してきた創造都市とも言えます。「創造なき伝統は空虚」との警句を胸に刻み、地域はもとより幅広く国内外から来た意欲あるみなさんが新生・金沢大学への扉を共に開くことを期待しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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