夢ナビ 夢ナビ

TOPへ戻る

講義No.11245

患者さんのために「ふたたび食べること」を成功させるコツ

食事は栄養をとるためだけのものではない

 高齢者の中には、病気や障がい、食物をかんで飲み下す「摂食嚥下(せっしょくえんげ)」の機能の衰えなどによって、食事をとることが難しい人がいます。しかし、食事をとらないと、身体は元気でいられません。そういった人たちを対象に、ふたたび食事を摂って自分らしく生きられるように、医師・看護師・介護士・理学療法士・作業療法士・栄養士・言語聴覚士などの多職種が連携し食べるためのリハビリテーションを試みます。なかでも言語聴覚士はもっとも重要な鍵となります。
 言語聴覚士は、本人の摂食嚥下機能を科学的にとらえ、安全かつおいしい食事の提供をめざします。いくら安全で栄養価が高いとは言え、本人が拒絶するような液体のような食事ばかり提供することで満足してはいけません。

「口腔ケア」も重要

 「口腔(こうくう)ケア」もまた食べるためのリハビリテーションには欠かせません。口腔ケアは、歯を守り食べる機能を高めること、口やのどの衛生により全身の健康増進をめざすことなど、いつまでもおいしく食事が摂れる、健康で長生きをするための下地になります。

本人の食べたい気持ちを引き出すことが成功の鍵

 本当は食べられるはずなのに食べない人もいます。その理由は、身体の構造や機能の問題、心理的な問題など、さまざまです。座り方を変えたら首の骨の圧迫が除かれて食べられるようになった人や、お通じを改善させたところ、食欲を取り戻した人もいます。また孫の言葉に励まされて食べるようになった人、話をじっくり聞いてあげることで心を開いて食べるようになった人もいます。患者さんの外側からの積極的な働きかけも大切ですが、多くの場合、本人の内発的な動機が食べる活力を産みます。将来が見えない暗黒に光が差し、ふたたび生きることに希望が持てたとき、人は食べ始めるのです。言語聴覚士は誰かの太陽になる仕事といえるでしょう。


この学問が向いているかも 摂食嚥下障害学、口腔衛生学

愛知学院大学
心身科学部 健康科学科(言語聴覚士コース) 准教授
牧野 日和 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校生は、人への優しさ、誰かを好きになる気持ちなど、人生の中でもっとも感受性が高い時期だと思います。自分も高校生の頃はそうだったのかなと改めて振り返ります。私は有限なる高校生の今を、精一杯、笑ったり、泣いたり、恋愛をしたり、他にもやれることをいっぱいやってほしいと思います。高校時代に経験した成功や失敗は、あなたの感性を存分に豊かにし、将来、医療の世界に入ったとき、出会う患者さんやそのご家族を支える動力源になると思うからです。

先生の学問へのきっかけ

 高校の時、好意を寄せていた同級生の女の子が「将来は先生になる」という話を聞いて、私も何かの先生になろうと思い、言葉の先生である当時の言語療法士の学校に進学しました。それが最初のきっかけでした。次は言語聴覚士として臨床や教育を経験するなかで、私の恩師や、ときに患者さんやご家族から「障がいも見るけど、人を見る」ことの大切さを教えられました。そこから何があっても人間の尊厳を大切にする食支援を研究するようになりました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

言語聴覚士/大学教員/食品会社

大学アイコン
牧野 日和 先生がいらっしゃる
愛知学院大学に関心を持ったら

 愛知学院大学は、建学以来、時代の要請に応えながら社会に貢献できる人材を育成してきました。130年を超える歴史を通じて受け継がれてきたのは、人間性を重視する仏教精神です。禅の教えをもとに「行学一体」の人格形成に努め、「報恩感謝」の生活のできる社会人を育成することを建学の精神としています。9学部16学科+短期大学部で構成された中部地区有数の規模と伝統を誇る総合大学。日進・楠元・末盛と2014年4月に名古屋都心部に開設した名城公園の4つのキャンパスで12,000人の学生が学修・研究に励んでいます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

TOPへもどる