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講義No.11233

患者の治療を科学的にサポートし、命を守る「薬剤師」

血液検査で体内の薬剤の状態を把握する

 医療現場において、薬剤師は最適で安全な薬物治療が行われるように患者を守る存在です。薬物投与後に現れる薬効には、同じ用量でも個人差があります。治療効果を高めて、副作用を軽減するために、血中の薬物の濃度をモニタリングし、体内の薬物の状態を知ることがあります。この「薬物動態」(Therapeutic Drug Monitoring)という知識が薬剤師の武器となります。

体内で薬物はどのように動いているのか

 薬物治療で効果を得るには、薬物が特定の部位に到達し、一定時間にわたって効果を発揮することが求められます。注射による投与では、薬物がすぐに血中に入り、時間の経過とともに濃度が下がっていきます。口から飲む場合は、胃や腸での吸収や肝臓での代謝なども同時に起きるため、注射よりゆっくり効果が現れます。実は、この体の中の薬の動きは、計算式で割り出すことができます。また、他の薬があると、効き目が強くなったり、弱くなったり変化することもあります。これらを総合的に判断して、薬の使い方を考えるには、「薬物動態」の知識が必要です。臨床薬学において、薬の体の中の動きを知り、患者さんの個人差も考えながら、どの薬をどのように使うかを導き出すのです。

薬剤師が治療方針を左右することも

 さらに、患者の肝臓や腎臓などの疾患の有無、薬の飲み合わせなども複雑に影響を与えます。投与の量やタイミングを間違えると、薬が過剰になる場合もあるのです。「薬物動態」は、時に治療を左右します。例えば、脳に衝撃を受けた患者が、薬で眠っているのか、脳のダメージで目を覚まさないのかわからないときがあります。そこで、薬が効いている時間を計算して目が覚める時間を予測します。それを過ぎても目覚めない場合は、脳のダメージが原因と考えられ、その後の治療方針を決めていくことになります。このように今、医療現場では患者の治療と健康をサポートできる薬剤師が求められているのです。

参考資料
1:参考になるサイト

この学問が向いているかも 薬学、臨床薬学

愛知学院大学
薬学部 医療薬学科 教授
河原 昌美 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 薬剤師は、患者さんを守る最後のとりでとなる存在です。医師に現状を伝え、必要なら薬剤療法について提案をすることもあります。患者さんに薬を渡すときは、困りごとはないかといったことを聞きながら、適正かどうかを判断します。
 薬剤師になるには、生物や物理、化学といった広い知識も必要です。そして、コミュニケーション力がとても大切です。患者さんは、お子さんから高齢の方、持病のある方など、いろいろな人がいます。興味があるなら、今のうちから、さまざまな人とのコミュニケーションを意識して過ごしましょう。

先生の学問へのきっかけ

 私が中学生の時、兄から勧められ、薬剤師に興味をもちました。理数系が好きだったこともあり、迷わず薬学に進学しました。卒業後は大学病院に薬剤師として就職しました。一時、出産を機に専業主婦になりましたが、大学の研究室や大学病院に復帰し、長く医療現場を経験しながら、薬物動態を中心に研究してきました。ある市立病院では薬剤部の改革に関わり、血中濃度測定の体制を整えたりもしました。そうした経験を踏まえて、現在は薬剤師にとって大切なことを伝えるため大学で教員をしています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

病院薬剤師/薬局薬剤師/製薬会社情報提供者/製薬会社研究員/大学教員

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河原 昌美 先生がいらっしゃる
愛知学院大学に関心を持ったら

 国公私立大 合同進学オンラインイベント「夢ナビライブ2021Web in Autumn」に、河原 昌美 先生が参加! 先生の講義ライブ動画を10月31日(日)までオンデマンド配信するほか、Zoomで先生に直接質問ができる「講義ライブ質問対応・研究室訪問」を10月2日(土)に実施。夢ナビライブは、600名以上の大学教授や200近い大学がさまざまなプログラムを実施する大型オンラインイベントなので、まずは「夢ナビライブ」で検索してください。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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