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講義No.11229

臓器を売買していいの? 「当たり前」を問い直す法哲学

臓器や血液などの売買は認められるべきか?

 法哲学とは、その名の通り法律を哲学する学問のことで、「なぜ法律を守らなければならないのか」「今の法律は本当に正しいのか」といったことを考えます。
 「体の一部を売ることの是非」について考えてみましょう。近年では、技術的には自分の体の一部である臓器や精子、卵子、血液などを他人に提供することが可能となりました。では、こうした体の一部を、車やパソコンなどの所有物と同様に、自分の意思で他人に売ることは問題ないのでしょうか?

お金が発生するかどうかで是非は分かれる

 現在、臓器など体の一部の「売買」は、多くの人が感覚的によくないと感じています。法律でも禁止されています。一方で、脳死での臓器提供や献血のような、無償での提供はさまざまな条件のもとで認められており、抵抗がない人も多いでしょう。体の一部の売買がよくないと考えられている理由の1つに、格差の問題が挙げられます。多くの場合、体を切り売りするのは生活に困った貧しい人、一方で買い手はある程度裕福な人となることが考えられます。つまり「体の売買は貧困層からの搾取につながるため、よくない」という意見です。しかし、所得制限を設けて、一定所得以上の人ならばよいとする、と考えても、やはり多くの人は違和感を持つのではないでしょうか。

まずは違和感を「問い」にするのが法哲学

 この問題の本質は、「体は経済的な対価を得るものではない」という意識を多くの人が持っていることにあります。人の体の扱いについて、なぜこういう意識を持つのか、まだ明確な答えは出ていません。もしかすると、こうした感覚は現代特有のもので、将来的には抵抗なく体の一部が売買される時代がくるかもしれません。こうした問いかけやそれに対する答えを言語化していくのが法哲学です。まずは問いが明確になるだけでも、みんなが考えるべき問題を提示できたという意味で一歩前進です。その上で答えを模索し、よりよい社会のためにはどんな法律が必要かを考えていくのです。


この学問が向いているかも 法哲学、法学

愛知学院大学
法学部 現代社会法学科 教授
鈴木 慎太郎 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 大学生や社会人となって専門分野が決まり、その分野の常識にとらわれてしまうと、自由な発想が制限されがちです。高校生のあなたには、今のうちに何にでも興味を持って学んでほしいです。
 また、世の中には自分や周囲の人とはまったく違う考えを持った人がたくさんいます。法律は、こうした多様な考えを持つ人たちが納得できるよう、知恵を絞ってつくられています。法律を学ぶなら、いろいろな人と話したり本を読んだりして、さまざまな考えを持つ人がいることを知っておくことが大切です。

先生の学問へのきっかけ

 高校時代は哲学に興味がありましたが、実生活に役立つと思い、大学は法学部に進学しました。大学一年生のときに法哲学を学び、学問的に深いところが探求できて、実際の生活にも関連しているところにおもしろさを感じ、法哲学の道に進むことを決めました。法哲学の分野では、さまざまな問題があり、それに対して答えが出ることはなかなかありません。しかし、ときどき「こう考えれば説明できる」とひらめく瞬間があり、そのときはいろいろな問題がつながっていく快感があります。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

公務員(警察・消防)/金融(銀行・信用金庫・証券・保険)/商社/法律事務所/法科大学院進学

大学アイコン
鈴木 慎太郎 先生がいらっしゃる
愛知学院大学に関心を持ったら

 愛知学院大学は、建学以来、時代の要請に応えながら社会に貢献できる人材を育成してきました。130年を超える歴史を通じて受け継がれてきたのは、人間性を重視する仏教精神です。禅の教えをもとに「行学一体」の人格形成に努め、「報恩感謝」の生活のできる社会人を育成することを建学の精神としています。9学部16学科+短期大学部で構成された中部地区有数の規模と伝統を誇る総合大学。日進・楠元・末盛と2014年4月に名古屋都心部に開設した名城公園の4つのキャンパスで12,000人の学生が学修・研究に励んでいます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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