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講義No.11221

誰が、なんの目的で作ったのか? 暦に隠された謎を解く

平安時代の暦を作ったのは陰陽師

 平安時代、呪術を使って怨霊(おんりょう)などを退治したとされる陰陽師(おんみょうじ)は、陰陽寮という機関に所属する官僚でした。陰陽師は政治アドバイザーとして天皇や貴族を競争相手から守るために呪術や占いを使うほか、天体観測・時間の計測・暦の作成などを行う科学者でもありました。安倍晴明もそうした陰陽寮の役人でした。陰陽師が行うことは、中国や朝鮮半島から伝わった陰陽五行などの知識に基づいており、陰陽師はその知識から「この日はこの方角に神様がいるから出かけてはいけない」「天体に異変があれば、地上にも悪いことが起こる」などと予測をし、暦を作ったのです。

暦の計算方法は、機密事項だった!

 江戸時代まで、暦を作ることができたのは権力者だけで、暦の計算方法も機密事項でした。江戸時代の暦は一年を二十四節気に分け、自然と密着した、季節感豊かなもので、また「この日は不吉だから仕事をしないほうがいい」「この日から種まきをしたほうがいい」など細かく書かれており、それは現代にも「大安・友引・仏滅」などとして伝わっています。例えば現代も「友引」にはお葬式をしません。実際にはしても構わないのですが、多くの人が「気にする人がいるはず」と配慮するのです。「配慮の構造」のようなものが日本社会を動かしている様子が見て取れます。

祝日を見ると、政府の考えが見える?

 明治時代になると陰陽道は廃止され、西洋の太陽暦が採用されました。この時、明治政府は祝日をすべて天皇に関わるものに定め、第二次世界大戦後も半分ほど引き継がれました。例えば「建国記念の日」は、初代の神武天皇が即位した紀元節が起源です。また「海の日」は、明治天皇が初めて巡視船に乗船した日です。このように祝日に着目すると、その時代の政府が何をしようとしていることが見えてきます。暦は社会生活で重要であるのと同時に、政府にとっても大切な統治手段だったのです。自然と人間の関わり、また私たちが生きている時代を考える上でも、暦は重要な研究対象となっています。


この学問が向いているかも 宗教学、歴史学

愛知学院大学
文学部 宗教文化学科 教授
林 淳 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 宗教文化学科は、人類がこれまで体験してきた経験や知識を、宗教を中心に考えていく学科です。高校までに学ぶ歴史・地理・政治・経済のどの分野とも異なります。
 宗教学が扱う内容も、仏教、キリスト教、イスラムのほか、妖怪、神話、祭り、山岳信仰、パワースポットなど幅広いです。目に見えない世界と、目に見える世界にいる自分がどのような関係にあるのかを考え、資料やフィールドワークによって探究していく学問が宗教学です。特に宗教に興味がなくても、学んでみると絶対に面白いと思います。

先生の学問へのきっかけ

 私が大学に入学した頃、大学紛争というものがありました。学生たちが構内にバリケードを築き、授業もできない状況でした。それを見た時に、宗教的な祭りに似ているなと思ったのです。大学が秩序を失い、人間が熱狂し、やがて冷めていくことに対し、「これは一体何なのだろう」と思いました。それを解き明かしてくれるのが宗教学ではないかと思ったのです。その後、陰陽道研究の大家の村山修一先生に出会い、平安貴族のことを気さくに話す先生の人柄と、陰陽道の資料に興味を持ち、今日の研究に至っています。

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林 淳 先生がいらっしゃる
愛知学院大学に関心を持ったら

 愛知学院大学は、建学以来、時代の要請に応えながら社会に貢献できる人材を育成してきました。130年を超える歴史を通じて受け継がれてきたのは、人間性を重視する仏教精神です。禅の教えをもとに「行学一体」の人格形成に努め、「報恩感謝」の生活のできる社会人を育成することを建学の精神としています。9学部16学科+短期大学部で構成された中部地区有数の規模と伝統を誇る総合大学。日進・楠元・末盛と2014年4月に名古屋都心部に開設した名城公園の4つのキャンパスで12,000人の学生が学修・研究に励んでいます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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