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講義No.11181

人間にとって知覚とは何かを探る「知覚心理学」

人間の視覚と感覚の不思議

 私たちの視覚には、不思議な部分がたくさんあります。映画や写真は2次元なのに、私たちはそれを3次元と認識します。その一方で、3次元で表現するVR(バーチャルリアリティ)は、楽しめる人と不快に思う人がいて、3Dテレビは、今はほぼ姿を消しています。果たして本当に3D映像は必要なのか、快適に見られるようにするには何が必要かという疑問が湧いてきます。
 例えば、写真や肖像画のなかの人物を見たとします。その人物は正面を見ているのに、それを見る側の私たちが正面から見ても少し横から見ても、こちらを見ているかのように感じます。それは人物の白目と黒目の比率が変わらないからです。生身の人間の場合は比率が変わるので、それによって相手がこちらを見ているか見ていないかを、私たちは無意識に判別しているのです。

美しさ、快適さを感じる心理メカニズムとは

 こうした人間の知覚と心の関係を研究するのが、「知覚心理学」です。1点を見つめ続けるとわかりますが、人間の目に見えているのは、実際には視点の先のごく狭い部分です。網膜に取り込める画像も、ごく限られた一部です。それでも私たちは眼球を動かして全体像をとらえ、脳の働きによって立体として認識し、美しいとか鮮やかだといった印象を持つのです。知覚心理学では、何によって美しいとか、快適や不快という感覚をもつのかなども、1つひとつ細かく設定を変えながら心理学的な実験法を用いて検証していきます。アルゴリズム(手順や計算方法)といったサイエンスの手法を用いて、人間がどう認識するのかという心理の本質に迫る研究です。

人間とは何かを知覚から探究

 そもそも生きていく上で、人間はなぜそうした感覚を持ち得たのでしょうか。芸術や技術は人間だけが行う営みですが、それはなぜかといった考察も不可欠となります。知覚と脳、心は密接に関連しています。これらが解明されていくと、快適な空間づくりや3次元映像の最適化など、幅広い分野で活用できるでしょう。


この学問が向いているかも 心理学、知覚心理学

人間環境大学
総合心理学部 総合心理学科 教授
佐藤 隆夫 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 世の中にはわからないこと、不思議なことがたくさんあります。今はインターネットなどで調べられる時代なので、「これは、こうだから、こうだ」とわかったつもりになっていることも多いかもしれません。すると、探究はそこで終わってしまいます。本来なら、ひとつの答えが見つかると、新しい疑問が5つくらい出てくるものです。「なぜ、どうして」と疑問に思うことが大切です。
 そうした不明瞭なことをサイエンスで実験的に探究するのが心理学です。あなたも、わからないことの解明にチャレンジしてみたいなら、ぜひ一緒に学びましょう。

先生の学問へのきっかけ

 私は、好奇心が旺盛な子どもでした。親に「あれはなに、これは?」と聞き続け、親が答えてくれないと、近くにいる大人に聞き始めるくらいでした。大学受験では、文系と理系で悩み、文系を選択。大学で学ぶなかで、心理学を選択しました。理系と文系のはざまであり、身近な疑問に向き合う学問であることに魅力を感じたからです。実際に研究していると、次々に新しい疑問が出てくるほどに奥が深く、夢中になりました。心の本質に触れようとすると、サイエンスの分野が欠かせません。心と知覚の関係を探究し続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学教員/情報通信会社研究員/各種企業企画・マーケティング・広告・人事

大学アイコン
佐藤 隆夫 先生がいらっしゃる
人間環境大学に関心を持ったら

 人間環境大学は、「いのち」、「こころ」、「環境」の未来を創造するために、知識と技能、そして自ら考えて行動する力を養い、それにかかわる実践力を身につけた人材を輩出しています。人を知り、人に学び、人のためになる自分へと成長できる大学、それが人間環境大学です。2022年4月、新たに愛媛県松山市に「総合心理学部」、愛知県岡崎市に「心理学部」「環境科学部」が開設、5学部7学科の大学となり、ますます個性あふれる特色豊かな大学へと進化します。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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