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講義No.11174

生活を支え、エコに貢献する「機能性セラミックス」

セラミックスは「強さ」から「機能性」へ

 無機物を焼き固めた素材、セラミックスでは、従来は「いかに硬く丈夫にできるか」という研究が主体でした。近年は特定の機能を持った「機能性セラミックス」の研究が盛んです。例えば、固体電解質(外部からの電場によってイオンを移動させることができる固体)を構成するセラミックスは、EV(電気自動車)の全固体電池などに利用することができます。全固体電池はエネルギー密度が高く、液漏れの心配もないことから、その普及により二酸化炭素の排出量を大幅に減らすことができます。

測定や発光の機能があるセラミックス

 機能性セラミックスは、ほかの分野でも有用です。可変抵抗素子を構成するセラミックスは、ある電圧まで絶縁体で、その電圧以上で良導体に変化する性質があり、静電気などの破壊的な電流から中心回路を保護する働きがあります。また、電気エネルギーを光に変換したり、高エネルギーの光をより低エネルギーの光に変換したりできるセラミックスもあります。LED照明の質の向上や、植物工場で使う育成ライト、そしてシリコン太陽光電池の発電効率向上のための波長変換フィルターなど、多方面への応用が期待できます。気体を吸着する機能を持つセラミックスは、複層断熱ガラスの断熱性の向上に利用でき、冷暖房のエネルギー効率を上げることができます。

機能性セラミックスで環境問題を解決

 機能性セラミックスの特性は、結晶構造、すなわち原子の並び方がカギとなります。例えば炭素は、結晶構造次第で黒鉛にもダイヤモンドにもなります。セラミックスでも結晶構造に基づく新しい機能が続々と発見されています。将来的には、セラミックスで窒素を吸収し、空気から肥料を作ることも夢ではありません。このように機能性セラミックスの材料研究は、エコロジーやサステイナブルな社会の実現に大きく貢献します。機能性セラミックスの研究が進めば特定の金属への依存度を下げることができるようになるなど、資源の少ない日本にとって特に重要な技術と言えます。


この学問が向いているかも 応用化学、無機固体化学

山形大学
工学部 化学・バイオ工学科 教授
松嶋 雄太 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校時代には座学の勉強だけでなく、さまざまなことにチャレンジしてください。部活や旅行などさまざまな経験を通じて多角的な視野を身につけると、より深く学ぶことができるようになります。
 工学部の研究では「体力と気力」が必要になる場面があります。高校時代に規則正しい生活と運動で、健康的な心身を養っておいてください。研究の過程では、実験結果が予想から外れることも少なくありませんが、予想外の結果にがっかりすることはありません。「どうしてだろう」と思うことで新しい探究が始まり、新しい発見につながるのです。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃から、日常生活の中で「いたずらの延長の実験」が楽しみでした。例えば、道ばたの野草がどのような環境なら元気に育つのか、といったものです。そのような実験を通して、「何事も実際にやってみないとわからない」ということを学びました。高校時代は、高温超伝導体やスペースシャトルの機体を守る耐火断熱材など、セラミックスが新素材として注目された時期でした。「セラミックス」という新素材が社会を変え、支えていくことに使命感とロマンを感じ、この分野の研究者を志すようになりました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

化学系会社研究員 / 建材・エクステリア・金属製品会社生産管理 / 非鉄金属会社研究員

研究室
大学アイコン
松嶋 雄太 先生がいらっしゃる
山形大学に関心を持ったら

 山形大学は、東日本有数の総合大学であり、4つのキャンパスはネットワークで融合されています。社会のリーダーにふさわしい基本能力と幅広い教養を身につけるため、教養教育に力を入れています。大学運営の基本方針として、一つは、何よりも学生を大切にして、学生が主役となる大学創りをするということ、そしてもう一つは、教育、特に教養教育を充実させるという2点を掲げています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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