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講義No.11164

パラ・パワーリフティング選手の驚異のパワーを解き明かせ!

パラ・パワーリフティングとは

 下肢障がい者が重量挙げ競技に挑む「パラ・パワーリフティング」は、パラリンピック種目の1つです。下半身に麻痺のある人や下肢切断者が、ベンチ台に横になって胴体を固定し、胸の上でバーベルを持ち上げるベンチプレスで競います。バーベル移動が左右でわずか0.1秒ずれるだけでバランスは崩れ、失格になってしまうため、筋肉を均等に鍛え、スムーズな動きで力を最大限に発揮するフォームの体得が必要です。そこで、筋肉の構造を考慮しながら、より効果的なトレーニング法を導き出す研究と実践が続いています。具体的には、ベンチプレス時の動きをモーションアナライザという機器で測定し動作解析を行い、さらには筋電図を用いて筋肉の動きを解析します。正しいフォームはケガの予防にもつながります。

トレーニングで脳構造が変わる?

 パラ・パワーリフティング選手は、健常者よりも良い記録を出すことがあります。下半身を動かせないのに、足の踏ん張りが効く選手よりも重いバーベルを上げられるのです。ある研究によれば、健常者では働かない脳の一部が、脊髄損傷者では働いていることがわかってきました。障がいがあるがゆえに脳内でなんらかの変化が生じ、動かない機能を補完するような働きが脳のほかの領域で発達する、またそれが強度の高いトレーニングによって促進され、優れたパフォーマンスにつながっている、という可能性が指摘されています。

体の鍛錬もリハビリになる

 従来のリハビリは、ケガをする前の状態に戻すことが一般的で、脊髄損傷によって動かなくなった下半身については積極的には行われませんでした。しかし、体を鍛えることで脳の構造が変化し、上肢の筋出力に良い影響を与えるのだとしたら、それも広い意味でのリハビリです。障がい者スポーツに取り組む選手は、トレーニングによって体と脳にどのような変化が生じているのか、運動生理学に基づいた研究が進み相関が明らかになれば、高齢者や一般競技者のリハビリやトレーニングへの応用も期待できます。


この学問が向いているかも スポーツ科学、運動生理学

愛知学院大学
心身科学部 健康科学科(スポーツ科学コース) 教授
石田 直章 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 日本における障がい者スポーツの認知度は、高いとは言い難いのが現状です。それは多くの人の中に「障がい者は特別」というイメージがあるからだと思います。
 海外では障がい者スポーツのプロリーグもあり、定期的にテレビ中継される人気種目もあります。ロンドンやリオのパラリンピックでも、どの競技会場も熱気にあふれ、障がい者を特別視しない観客が一体となって楽しむ姿が印象的でした。「障がい者は特別ではない」という視点を持ち、積極的に関わってみましょう。あなたを取り巻く世界の見え方が、きっと大きく変わります。

先生の学問へのきっかけ

 学生時代、やり投げの選手だった私はベンチプレスで筋トレを積み、陸上競技終了後はパワーリフティングの大会にも時々参加していました。同じ階級には障がいのある選手も出場していましたが、私よりも好記録を出すことが不思議で、その謎を解き明かしたいと思いました。脊髄損傷で腹筋に力が入らないと、通常なら車いすでも姿勢をまっすぐ保てないのに、背もたれなしでちゃんと椅子に座れるトップ選手もいます。高強度のトレーニングが何らかの効果をもたらしていると考え、運動生理学的にエビデンスを得る研究に取り組んでいます。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

公務員/教諭(小学校)/サービス業/企画運営会社(スポーツ大会など)

大学アイコン
石田 直章 先生がいらっしゃる
愛知学院大学に関心を持ったら

 愛知学院大学は、建学以来、時代の要請に応えながら社会に貢献できる人材を育成してきました。130年を超える歴史を通じて受け継がれてきたのは、人間性を重視する仏教精神です。禅の教えをもとに「行学一体」の人格形成に努め、「報恩感謝」の生活のできる社会人を育成することを建学の精神としています。9学部16学科+短期大学部で構成された中部地区有数の規模と伝統を誇る総合大学。日進・楠元・末盛と2014年4月に名古屋都心部に開設した名城公園の4つのキャンパスで12,000人の学生が学修・研究に励んでいます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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