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講義No.11149

匂いと、心と体の深い関係とは

匂いは古い記憶も鮮明に呼び起こす

 心の成り立ちや記憶の謎を解き明かすのに、匂いはとてもいい題材です。嗅覚と心と記憶は、脳の最も原始的な領域、大脳辺縁系で処理されており、互いが密接に結びついています。しかし、なぜ特定の匂いが心を動かすのか、記憶に強く関係するのかなど、まだわからないことも多いのです。これらがわかれば、心の問題で苦しむ人が、匂いで心の健康を得られるようになるでしょう。心は昔の大事な記憶に支えられており、匂いは記憶を呼び起こしてくれるのです。

匂いは心だけでなく体への影響も大きい

 嗅覚は脳と体をつなぐ大事な感覚です。まず、匂いの感じ方は常に同じではなく、体の状態によって変わります。例えば、空腹時に揚げ物の匂いを嗅げば食欲を感じますが、満腹時にはそうはなりません。匂いを心地よく感じるには体の健康が必要です。逆に、匂いで体の健康を達成できるのではないかという研究も進んでいます。また匂いは、体を癒やすだけではなく、運動機能にも影響します。例えば、運動障がいのある人が調理をするリハビリを行った際、包丁で材料を切る作業より食材をフライパンで炒める作業のほうが、食材の匂いをより強く感じて運動機能が増します。食べ物の匂い、特に醤油やソースなどの香ばしい匂いは、体の動きを良くするのに効果的なのです。

安らぐ匂いのオーダーメイド

 研究では、マウスに匂いを嗅がせながらいろいろな経験をさせます。もともと意味のない匂いでも、いい経験と共に嗅げば好きになり、嫌な経験と共に嗅ぐと嫌いになります。匂いと心や記憶との関係は生まれつきではなく、匂いの良し悪しは、嗅いだ時にした経験から後天的に学んでいるのです。ですから、ある人は花の匂いに安らぎ、ある人は自宅の匂いに安らぎます。「安らぐ匂い」は人それぞれなのです。
 今後、医療はオーダーメイドの時代に入ります。匂いについても、自分や状況に最適なものを探して利用することが必要となっていくでしょう。匂いで幸せを作る研究は今も進んでいます。


この学問が向いているかも 医学、生理学

高知大学
医学部 医学科 教授
山口 正洋 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校生までの勉強はすでに答えがあることが対象ですが、大学生になると「まだわかっていないことを知る」ことが勉強になります。教科書に載っていること、今まで正しいと思っていたことが実は真実ではないかもしれません。世の中はまだまだわからないことだらけです。高校までに習うのは先人たちが積み上げた「わかっていること」のうちのごく一部なのです。そして、わかっていないことこそが面白いのです。せっかく大学で勉強するなら、何か小さいことでもいいから自分がプラスアルファを積み上げるという気概で学問をしてみましょう。

先生の学問へのきっかけ

 幼少期は本と遊びと友だちが好きな、おとなしい子どもでした。脳研究との出会いは、大学卒業後に臨床医を2年ほど経験し、また大学に戻ったときです。26~27歳だったので、非常に遅かったと思います。研究は、日々面白いことばかりです。特に自分が予想もしなかったことがわかったときは格別です。ひとつの疑問が解明すると、その事実から新たな疑問がたくさん生まれて終わりがありません。わかればわかるほどおもしろくなります。だから脳研究と出会って以来、私はその面白さにずっと魅了され続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

医師/薬剤師/大学教員/研究所研究員

研究室
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山口 正洋 先生がいらっしゃる
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 高知大学は、四国山地から南海トラフに至るまでの地球環境を眼下に収め「地域から世界へ、世界から地域へ」を標語に、現場主義の精神に立脚し、地域との協働を基盤とした、人と環境が調和のとれた安全・安心で持続可能な社会の構築を志向する総合大学として教育研究活動を展開しています。
 教養教育、専門教育、正課外教育やインターンシップを通じ「表現力」「プレゼンテーション能力」「コミュニケーション能力」「異文化理解能力」「情報活用能力」の5つの能力で社会の力になる21世紀の知識創造社会で活躍できる人材を輩出します。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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