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講義No.11142

フランスの庭園に秘められた数々の工夫とは?

庭に表れる自然への価値観

 世界にはさまざまな庭園様式があり、その地の人たちの自然に対する価値観が表れています。例えば日本は木の傾きや曲がった部分などの姿を大事にした風景式、フランスは直線や円などの幾何学的な模様を植物の緑で表現した整形式庭園が主流です。日本人からすれば人工的に樹木の形を整えたものは自然ではないと思うかもしれませんが、フランス人は整った理想的な形を自然だとみなしています。一方でフランスでは環境への配慮も重視しており、殺虫剤などを使わずに植物を管理している庭もあります。作業量は膨大になりますが、機械化や効率化によって管理体制を維持しているのです。

ヴェルサイユ庭園と視覚のトリック

 庭はお金のかかるぜいたくなものなので、かつては権力や経済力の象徴でもありました。その代表例が17世紀にルイ14世が作らせたヴェルサイユ宮殿の庭園です。造園家のル・ノートルが手がけており、現代にも生かせる技術が数多く含まれています。例えば、視覚による錯覚「錯視」などの視覚効果です。ヴェルサイユ庭園には、下り坂が続くと傾斜が緩やかになったとき上り坂のように見える「縦断勾配錯視」のような視覚効果が意識的に使われています。

地形を生かした造園

 現代では地形に不都合があれば機械で整形できますが、17世紀頃は容易ではありませんでした。そこで地形を生かした造園も行われたのです。ル・ノートルが手がけたヴォー・ル・ヴィコント城の庭園を測量すると、異なる傾斜の土地が連なっていることがわかります。整形式庭園では通常、人の視点が収束する点が1つになるよう設計されています。しかし傾斜が異なる地形では、収束点をひとつにすると景観が美しくならない可能性がありました。そこでル・ノートルは2つの収束点を作ろうと計画し、城から庭に向かううちに収束点が下から上に動き、未来へ飛翔するかのような感覚が生まれるようにしたのです。このように整形式庭園には、庭を歩く人の無意識に訴えかける工夫が詰まっています。


この学問が向いているかも 造園学

南九州大学
環境園芸学部 環境園芸学科 教授
平岡 直樹 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 造園は緑を扱う分野で、人々を喜ばせる力を持っていると思います。ものづくりのひとつとして、ぜひ興味を持ってもらいたいです。また、生きている植物を扱っているため、完成後も管理方法を工夫すれば進化させ続けることができます。こうした創造性の継続は、造園の特徴であり魅力です。
 緑の空間づくりには庭師以外にも、計画設計、デザイン、管理などさまざまな視点で関わる人がいます。生物や植物など、自然が好きな人にも向いています。興味があれば、ぜひ日々の生活の中で木や花に触れる機会を大切にしてみてください。

先生の学問へのきっかけ

 造園に興味を持ったきっかけは、実家の庭です。小さな庭でしたが京都の庭師が手がけたもので、周囲とは違った雰囲気を持っており、大好きな場所でした。大学では造園を学び、卒業後は公園の設計をする仕事に就きましたが、「どうすれば子どもに楽しんでもらえる公園を作ることができるのか」と悩み、仕事を辞めて公園発祥の地であるヨーロッパに行きました。ル・ノートルの庭園技術をはじめとする素晴らしい公園や庭の数々に刺激を受け、帰国後は整形式庭園や都市緑地計画、地域景観などの研究に取り組んでいます。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

造園コンサルタント設計/造園施工会社工事/エクステリア会社デザイン/教諭(高等学校)/官公庁造園職/植物園植物管理

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平岡 直樹 先生がいらっしゃる
南九州大学に関心を持ったら

 国公私立大 合同進学オンラインイベント「夢ナビライブ2021Web in Autumn」に、平岡 直樹 先生が参加! 先生の講義ライブ動画を10月12日(火)までオンデマンド配信するほか、Zoomで先生に直接質問ができる「講義ライブ質問対応・研究室訪問」を10月2日(土)に実施。夢ナビライブは、600名以上の大学教授や200近い大学がさまざまなプログラムを実施する大型オンラインイベントなので、まずは「夢ナビライブ」で検索してください。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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