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講義No.11137

卓球ロボットの開発から、人に役立つロボットが見えてくる

高度なスポーツをこなすロボットの開発

 「卓球」は、相手の動きからボールの軌道を予測して、狙った場所に素早く打ち返すことが求められる高度なスポーツであり、人間の器用さの象徴とも言えます。卓球ができるロボットを研究することは、人間の器用さの解明はもちろんのこと、日常生活のさまざまなシーンで役立つロボットの実現にもつながるのです。

わずか0.1秒で動作を計算

 卓球ロボットの動作は「(1)球の認識」「(2)軌道の予測」「(3)打ち返し方法の決定」「(4)ロボット動作の計画」の4つの「要素技術」から構成されます。(1)まずは相手が打った球の速度や回転をカメラで計測します。(2)次に、計測した速度を利用して、空気抵抗やテーブルとの跳ね返りを計算して球の軌道を予測します。すると球の到着時刻、打ち返し直前の球の速度が分かるので、(3)狙った場所への打ち返しの仕方として、ラケットの角度と速度を計算します。(4)最後に、計算したラケットの角度と速度で打ち返すためのロボットアームの効率的な動かし方を計算します。ロボットはこの4つの要素技術の計算後に実際の動きに入りますが、打ち返すまでに0.5秒は必要となります。ラリーは0.6秒ほどですので、4つのプロセスをわずか0.1秒で高速に実行することで、人間とのラリーが可能となるのです。

瞬時の状況判断と最適な行動を選択する能力

 現在、自動運転の乗り物や案内ロボットなど、生活に役立つさまざまなロボットが開発されています。それらが人間社会に出るにあたって大事なことは、人を傷つけないことです。子どもが急に飛び出してきたり、なにかモノが飛んできたりした場合でも、瞬時に状況を判断して、人を傷つけることなく最適な対応をすることがロボットには求められます。これらは、卓球ボールを人やモノに置き換えることで同じ状況となり、卓球ロボットの「要素技術」を応用することができます。卓球ロボットの開発で培われた技術は、人間の役に立つ安全なロボットの実現につながっていくのです。


この学問が向いているかも ロボット工学、制御工学、機械工学

南山大学
理工学部 機械システム工学科 教授
中島 明 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 勉強、スポーツ、音楽や何でも、熱中できるものを持つことが人生にとって大事です。情熱を持って取り組むから活力が生まれ、上達のために色々と考えます。スポーツならたくさんの基礎練習をするし、憧れの選手の真似をするでしょう。すると自分との違いが見えてきて、工夫して自分に合った練習やプレーをするようになり、創造性が養われるのです。ロボット研究も同じです。情熱を持って失敗にへこたれず取り組むことで、まだ世の中にない新しいロボットが誕生するのです。あなたも、どうか情熱を持ち、自分を大きく育ててください。

先生の学問へのきっかけ

 大学一年生だった1996年に自動車メーカーのホンダが発表したASIMOの前身である「P2」という二足歩行ロボットを見たことが、ロボット開発に興味を持つきっかけでした。それまで不可能と思われていた人間と同じ二足歩行ロボットが実現したことに驚き、ロボットに大きな可能性を感じた瞬間でした。子どもの頃から機械が大好きで、特に大掛かりな機械に興味があったため、大学は航空に関する学部でしたが、そのときから一気にロボットに興味が湧きました。そこから現在まで、ロボットの開発一筋で研究を続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

自動車製造業技術職/生産機械製造業技術職/鉄道業技術職/航空機製造業技術職/情報通信業技術職

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中島 明 先生がいらっしゃる
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 南山大学は、7学部16学科を擁するカトリック系の総合大学です。文系学部には、人文、外国語、経済、経営、法の5学部があり、理系学部には、理工学部があります。複合系の学部として、総合政策学部があります。
 本学の大きな特長は、国際性です。国際性の象徴的なポイントは、学長がドイツ人ということです。外国籍を持つ教員は、約60名もいます。また、外国人留学生は、毎年約300名以上在籍しています。本学からも、毎年100名以上の学生が海外に留学します。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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