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講義No.11122

従来のうつ病には当てはまらない? 「新型うつ」の特徴とは

「新型うつ」はメディア用語

 1990年代後半から2000年代にかけて、気分の落ち込みを訴える一方で従来典型的と考えられてきたうつ病とは異なる特徴を示す人が増え、「新型うつ」としてメディアが取り上げるようになりました。しかし、新型うつという医学的な病名は存在しません。
 一般的なうつ病は、気分が落ち込む、眠れない、食欲がないといった症状が続くのが特徴です。一方、新型うつには、過食や過眠のほか、好きなことをしているときは症状が軽くなるといった特徴があります。日本ではうつ病は真面目できちょうめん、仕事熱心な人が頑張りすぎて燃え尽きてしまった結果というイメージがあったため、これに当てはまらない人たちは「新型」と表現されました。

キーワードは「対人過敏」と「自己優先」

 新型うつについての資料の分析や、精神科医や臨床心理士への聞き取りなどを経て、新型うつとされる人たちに共通する特徴を探ると、「対人過敏」と「自己優先」という傾向が浮かび上がってきました。対人過敏とは、他人にネガティブなことを言われるのを過度に気にして、軽い調子で言われても重く受け止め傷ついてしまう傾向です。自己優先は、他人への気遣いより、自分の状態を良くすることを優先させる傾向です。現在、これらの傾向の度合いを調べる尺度や、新型うつとされる人の症状の重さを測る方法の開発が進められています。

精神疾患流行のメカニズムを探る

 近年、うつ病が広く知られるようになりました。精神疾患の歴史では、ある病気の存在が知れ渡ることによって、「自分もその病気かもしれない」と思う人が爆発的に増えるという現象が繰り返されてきました。19世紀後半のヒステリーや、明治から昭和時代にかけての神経衰弱などです。これには、無自覚な人が病気に気づくというメリットと、治療の必要がなくても病気を疑い、心や体の状態が悪くなる人が出てくるというデメリットがあります。新型うつの特徴や背景を探ることは、精神疾患の歴史に共通するメカニズムを解明することにもつながります。


この学問が向いているかも 現代社会学、心理学、社会心理学

東北文化学園大学
現代社会学部 現代社会学科 講師
山川 樹 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 大学で心理学を学びたいと考えているのなら、高校ではまず、国語、数学、英語、社会といった基礎科目をしっかり学ぶようにしましょう。心理学には、海外の文献を読むための英語力やデータ解析する力、日本や海外で何が起こっているのかという社会の知識などが必要になります。
 また、小説や音楽、美術などに触れて自分の教養を深めておくと、物事をさまざまな観点から解釈するのに役立ちます。心理学の専門的な勉強は大学で存分にできますから、今は人間を理解するための自分の引き出しを増やしておいてください。

先生の学問へのきっかけ

 犯罪心理捜査などをテーマにしたミステリー小説を読むうちに、心理学に興味を持ちました。自分が周りから「変わっているね」と言われることが多く、人の内面に注意・関心を向けるようになったことも興味を後押ししました。「新型うつ」の研究を始めたのは、大学4年の時に周囲でうつ病との関わりで死に至るケースがある一方で、「うつだ」と自ら表明する人が増えたのがきっかけです。自分の不調には敏感でも、他者の不調、死に至るような状態を見落としてしまうことに疑問を感じ、社会と病の関係を調べるようになりました。

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山川 樹 先生がいらっしゃる
東北文化学園大学に関心を持ったら

 国公私立大 合同進学オンラインイベント「夢ナビライブ2021Web in Autumn」に、山川 樹 先生が参加! 先生の講義ライブ動画を10月12日(火)までオンデマンド配信するほか、Zoomで先生に直接質問ができる「講義ライブ質問対応・研究室訪問」を10月3日(日)に実施。夢ナビライブは、600名以上の大学教授や200近い大学がさまざまなプログラムを実施する大型オンラインイベントなので、まずは「夢ナビライブ」で検索してください。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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