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講義No.11108

大規模な宇宙輸送や小型衛星の編隊飛行を実現する小型ロケットエンジン

宇宙空間で姿勢や軌道を保つ・より遠くへ行く

 人工衛星は、太陽の重力などにより揺さぶられ、軌道がずれてしまいます。もし、放送衛星の軌道がずれると、地上のアンテナの角度を頻繁に修正しなければならなくなってしまいます。そこで、人工衛星に小さなロケットエンジンを搭載し、それを噴射して姿勢を修正するのです。また、同じ軌道に留まるだけでなく、姿勢を保ったり宇宙航行したりする場合にも、小さなロケットエンジンが活躍しています。小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星に行き、サンプル収集のためにタッチダウンして、地球に帰還できるのも、小さなロケットエンジンの活躍によるものです。

力が弱くても大丈夫

 ロケットエンジンは、推進剤(ロケット燃料)の燃焼によって推力を得る化学推進と、電気エネルギーを利用する電気推進に分かれます。打ち上げに使う大きなロケットエンジンは、重力に抗って大気圏を飛び出さなければならないため、推力が大きい化学推進に限られます。一方、宇宙空間で使用する衛星用の小さなロケットエンジンは無重力で使うために自重を支える必要がありません。そのため、推力が小さくとも燃費が良い電気推進も活躍することができるのです。

宇宙空間でロケット燃料(推進剤)を調達?

 現在の宇宙機は、使用する全推進剤を予め搭載しますが、もし途中で補給できれば、打ち上げのコストを削減し、より長い航行が可能となります。現在、少なからぬ天体で水や炭素などが見つかっており、これを推進剤にすることが考えられています。例えば、MPDと呼ばれる電気推進ロケットに水を推進剤とする研究が行われています。MPDは、電気エネルギーで推進剤をプラズマと呼ばれる高温のガス状態にして、電磁力によりプラズマジェットを噴射し、推力とするロケットです。理論的には、水プラズマジェットは秒速20km以上まで加速することができ、燃費の良さと大推力を両立できると考えられています。将来のロケットや探査機は、途中の天体で水を補給しながら飛ぶようになるかもしれません。


この学問が向いているかも 航空宇宙工学、機械工学、宇宙工学

東京都立大学(旧・首都大学東京)
システムデザイン学部 航空宇宙システム工学科 准教授
各務 聡 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 宇宙開発は国の事業でしたが、今は多くの企業が参入するようになりました。その例として、宇宙ゴミの回収、人工流れ星、砂漠や海上など世界のいたる場所で使用できるインターネットサービスなど、宇宙を利用したさまざまなサービスが実現されようとしています。このようなチャレンジを支えるため、人工衛星搭載用の小型ロケットエンジンを研究しています。今では、小型衛星を通して、大学の手が宇宙空間に届くようになり、ロケットエンジンを搭載する小型衛星も現れてきました。一緒に研究をして、これからの宇宙開発に携わりませんか?

先生の学問へのきっかけ

 小学生の頃はブラックホールや惑星などの天体や電子工学が好きでしたが、高校生の頃に飛行機や自動車にコンピュータ制御が適用され始め、ジェットエンジンや航空機の電子制御に興味が移り、航空宇宙工学や機械工学を志すようになりました。大学時代に、プラズマジェットを利用する電気推進ロケットエンジンを知り、電気推進の研究室を選びました。現在は、電気推進だけでなく、化学推進も研究しており、スプレー缶にも使用されている安全な液化ガスをロケット燃料とする小型衛星用の化学推進の研究も手掛けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

メーカ(航空宇宙、自動車、機械、造船、電気、製鉄、プラント)のエンジニア/宇宙事業会社の運用担当/航空会社のパイロット

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各務 聡 先生がいらっしゃる
東京都立大学(旧・首都大学東京)に関心を持ったら

 東京都立大学は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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