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講義No.11105

微生物を活用して社会の課題を解決する

人間が知っている微生物は1%にも満たない

 わずか1グラムの土には少なくとも100万種以上、多くて100億種以上の微生物がいると考えられています。その中で私たち人間が実際に発見して、名前や性質が判明している微生物は約5000種類です。99%以上の微生物はまったく知られていません。微生物の存在が発見されたのは1674年のことですが、地球上には未知の微生物がまだまだ存在しているのです。日本人は古くから発酵菌と上手に付き合って、発酵食品を発展させてきました。この経験からより多くの有益な微生物を見つけて、社会の役に立てる研究が進められています。

あらゆる自然の中に潜んでいる微生物

 ノーベル医学・生理学賞を受賞した北里大学の大村智博士は、医薬品の元になる物質を生み出す微生物を、静岡県のゴルフ場の土から採取しました。有益な微生物は各地の土壌に普通に生存しているのです。沖縄県の西表(いりおもて)島にあるマングローブや八重山諸島など、豊かな自然が残る地には多様な微生物が数多く生存しています。アフリカのチュニジアにあるサハラ砂漠や塩湖からも、その土地独自の微生物を採取可能しています。

薬の原料や有害物質の分解など、可能性は無限大

 微生物はいろいろなものを食べて、分解し排泄をします。そのときに出す成分で、医薬品、農薬、化粧品になるものもあります。沖縄の洞窟にすむコウモリのふんから、抗がん剤の成分を作る菌が発見されたことがあります。また、環境に有害な物質を分解してくれる環境浄化のための微生物も存在します。例えば、生物由来で環境に優しいバイオディーゼルは、製造後にグリセリンを多く排出しますが、このグリセリンを食べてくれる微生物もいるのです。さらに、その微生物を培養して農薬を作ることができれば一石二鳥といえるでしょう。
 バイオマス(生物資源)やバイオテクノロジーを活用して経済成長をめざす考え方をバイオエコノミーと呼びます。SDGs(持続可能な開発目標)が提唱される現在、産業微生物には大きな可能性が秘められています。


この学問が向いているかも 応用微生物学

東京工科大学
応用生物学部 応用生物学科 教授
松井 徹 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校時代に基本的な学力を身につけておくと、後々役に立ちます。微生物を採取する上で、環境や環境に関する法律の知識は必須です。地理や社会情勢の知識も役に立つでしょう。広い学問を身につけることで、人生の選択肢が広がります。
 どんな研究にも波があります。うまくいくときもあれば停滞するときもあるでしょう。そんなときも思い悩んで止まってしまうのではなく、走り続けることが大事です。微生物の研究はSDGsの達成にも関わってきます。社会に役立つ研究をしたいなら、ぜひ一緒にやりましょう。

先生の学問へのきっかけ

 父親が電化製品を取り扱う仕事をしていた影響もあり、高校時代は機械の専門家になろうと考えていました。進学した大学で、バイオテクノロジーの魅力に触れてバイオ工学を学ぶようになりました。企業で大きなプロジェクトに携わるには実学が必要と考え、微生物を専門にした研究室に進み、博士号を取得して就職しました。30代の半ばで国の研究機関に転職をして、それまでライバルだった企業の人といっしょに仕事をする中で、この分野を本格的に極めようと思い、研究者の道に進んで現在に至っています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

化学会社研究員/環境コンサルタント

大学アイコン
松井 徹 先生がいらっしゃる
東京工科大学に関心を持ったら

 創立以来、産業界の要請を的確に予測し、一貫して実学を身に付けた人材の育成を目指してきました。またそのために、「ONLY ONE,BEST CARE」(OBC)という行動規範を掲げ、教職員が一丸となって教育改革に取り組んでいます。具体的には、●学生の個性を重視した教育の実施●先端技術教育による実社会に役立つ技術者や多様なエキスパートの育成●ICT に精通した技術者や多様なエキスパートの育成●国際的人材育成のための外国語(特に英語)の実践教育、の4つのミッションが実現するよう日々の努力を重ねています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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