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講義No.11083

道路に島をつくると安全で快適になる! 「二段階横断」の効果とは

歩行者の事故が多い日本

 交通事故で亡くなる人の中で、歩行者の割合が高いのが日本の特徴です。ヨーロッパでは20%前後ですが、日本は35%程度です。特に道路横断中、左側から来る車にはねられるケースが多いという統計があります。車が右から来る手前側の道路は渡るタイミングをつかみやすいのに対し、奥の方は、左からの車の速度を読み違えて渡り始めてしまい、ぶつかるという実態があるのです

横断しやすく、車もゆっくり

 ヨーロッパでは「二段階横断」が広く使われています。二段階横断は、道路を一気に渡るのではなく、真ん中に「交通島」というスペースを設けて2回に分けて渡る仕組みです。信号機のない横断歩道の場合、左右を何度も確認しながらタイミングを探らなくても、まずは片側を確認すれば渡れますし、島で立ち止まって再び確認して渡るので、それぞれ横断のチャンスは増えます。
 実際に二段階横断の安全性が検証されました。道路を撮影した動画のAI(人工知能)画像解析やデータ解析を行った結果、島に人がいる場合は70%の車が止まり、島がない道路よりも高い確率で道を譲ってくれることがわかりました。しかも駅前では95%にまで高くなりました。横断施設(横断歩道や交通島)に近づく車のスピード自体も平均で時速3.9km遅くなるというデータも取れました。二段階横断は、歩行者の利便性が高まる上に、車が譲ってくれやすいメリットがあるわけです。

道づくりはまちづくり

 二段階横断に関する日本のガイドラインはまだ定まっておらず、協議、研究段階です。横断施設はただ多ければいいというわけではなく、歩行者が使いたい場所にないと意味がありません。スクールゾーンなど設置場所によっては、歩行者の安全意識の向上にもつなげられます。ドライバー側の視点も必要で、海外にある横断歩道とセットではない「島」だけを作る手法も日本で使われるとよいでしょう。ちょっとした工夫で信号機に頼らなくても事故が少ない円滑な道になり、ひいては道づくりから安全な都市構造を組み立てることができるのです。


この学問が向いているかも 交通工学、交通計画学、土木計画学

名古屋工業大学
工学部 社会工学科 環境都市分野 准教授
鈴木 弘司 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 交通工学や交通計画学では、物理に加えて数学の知識、特に統計学を用います。データを処理し、科学的な裏付けを持った結果として、世の中に数値を示す必要があるので、まずは日常で見かける数字の意味に関心を持ってほしいです。
 理系文系どちらに進むにしても数学は大切で、また国語力も大事です。世の中に出ると、説明をすることがとても重要になるからです。数学の問題も国語ができないと解きづらいでしょう。理論立てて説明するためにも、理系だからといって国語をおろそかにすると、後で大変な思いをします。しっかり勉強しましょう。

先生の学問へのきっかけ

 学生時代、車やバイクで出かけるのが好きでした。旅先ではスムーズに走れる道路もあれば、ごちゃごちゃして走りにくい場所もありました。そうした経験から「使いやすい道」、「快適に走れる空間」に興味を持ちました。研究するうちに、海外にはラウンドアバウトといった交差点があることや短いサイクルで信号制御されること、高速道路で動的速度規制の運用がされていると知り、日本の道路交通環境をより良くする方法を深く考えたいと思いました。暮らしに直結する交通問題を、実務者と一緒に対策を考え、効果を確認できる点が面白いです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

官公庁都市計画/高速道路会社/鉄道会社/電力・エネルギー会社/街づくりコンサルタント/建設会社/自動車会社/情報通信会社/教諭(工科高校)/電気会社研究員

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鈴木 弘司 先生がいらっしゃる
名古屋工業大学に関心を持ったら

 名古屋工業大学は、世界のものづくりの中心地である中京地区の工学リーダーとして、技術イノベーションと産業振興を牽引するにふさわしい高度で充実した教育研究体制を整備しています。さらに国内の工科系大学のみならず、世界の工科系大学と連携することにより、工科大学の世界拠点として、異分野との融合による新たな科学技術を創成し、有為の人材を数多く世に送り出そうとする構想をもっています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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