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講義No.11082

口腔ケアの意識を高め、地域の健康の底上げを

予防歯科が浸透する一方で口内環境の格差も

 むし歯菌は糖を代謝して酸をつくり歯を溶かし、むし歯を作ります。歯の表面は硬いエナメル質で覆われているのですが、生えたばかりの歯のエナメル質はこの酸に対して弱い状態です。そこで歯磨きのほかにエナメル質を強くするためにフッ化物の塗布や洗口によるサポートが必要になるのです。こうした予防歯科の考え方が一般的になったことで、日本人の口内環境はよくなりました。一方で、むし歯が多く、治療もしないままにしている場合も見受けられ、格差が広がっていると言えます。

口内環境の悪化が糖尿病につながる

 口内環境を悪いままにしておくと、痛みや歯が抜けた影響で食事がしにくくなります。そうなると野菜や肉類を避け、軟らかいご飯やパン、うどんといった炭水化物ばかり好んで食べるようになるようです。これは糖尿病の発症や悪化のリスクになるとされています。また、糖尿病になると唾液の量が減る傾向があるため、口の中の汚れを洗い流す作用が弱まり、むし歯になりやすくなります。さらに糖尿病は歯周病とも相互に影響するとも言われています。このように口内環境と糖尿病をはじめとした全身の健康には密接な関係があるのです。

口腔ケアは本人だけの問題ではない

 口内環境が悪い人は口のにおいも強く、高齢になり介護が必要になったとき、介護者の負担となります。またにおい対策のためだけでなく、口の中の細菌が気管支や肺に入ると肺炎の原因となるため、口の中が汚れていると肺炎のリスクが高まると言われています。こうしたさまざまな点から高齢者に対する口腔ケアの意識は年々高まっており、現在では歯科医以外の医師や看護師、介護士といった多職種で連携して高齢者の健康を守っています。
 このように歯科(歯学)は治療の学問だけではありません。年代ごとに目的は異なりながらも、口の中と全身との関係を明らかにし、そのケアを実践することで地域の健康の底上げを行い、あなたが健康に過ごすことができる社会をめざしています。


この学問が向いているかも 口腔保健学、疫学

新潟大学
歯学部 口腔生命福祉学科 教授
濃野 要 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 私が高校生の頃は時間が無限にあると勘違いし、目的も持たず無駄に過ごす時間が多かったと思います。今になって大変後悔しています。学業でも何でも、若いときにしか吸収できないことがあります。息抜きは重要ですが、長くなってしまっては本末転倒ですから、気持ちの切り替えを上手に行いましょう。また、健康があって初めて最高のパフォーマンスが出せます。歯が痛いと勉強なんかできません。新型コロナなどの感染症に限らず、病気の予防に気を付けてください。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃、虫歯が痛くて遊べなかったことがあります。しかし親がしっかりケアをしてくれたのか、大人の歯になってからはそういう記憶がまったくなく、痛くなってから治すよりも痛くならないことが大事だと思うようになりました。歯科に進んだのも、多くの人に歯を守ることの大切さを知ってほしかったからです。そのためにはきちんと説得できる材料がないといけないと考え、研究の道に進みました。当時に比べると今はかなり多くの人の中に口腔ケアの大切さが根付いていて、大きな進歩だと感じています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

歯科医師 / 歯科衛生士 / 医(歯)系技官

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濃野 要 先生がいらっしゃる
新潟大学に関心を持ったら

 国公私立大 合同進学オンラインイベント「夢ナビライブ2021Web in Autumn」に、濃野 要 先生が参加! 先生の講義ライブ動画を10月12日(火)までオンデマンド配信するほか、Zoomで先生に直接質問ができる「講義ライブ質問対応・研究室訪問」を10月3日(日)に実施。夢ナビライブは、600名以上の大学教授や200近い大学がさまざまなプログラムを実施する大型オンラインイベントなので、まずは「夢ナビライブ」で検索してください。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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