夢ナビ 夢ナビ

検索結果一覧へ戻る

講義No.11073

脳の癖を解き明かす 〜認知研究が切り開くデザインの未来〜

脳の情報処理には癖がある

 「見た」という感覚は、眼球ではなく、脳内で視覚情報が処理されることによって生じます。この脳内の情報処理には癖があることがわかっています。有名な事例として、エビングハウス錯視が挙げられます。エビングハウス錯視とは真ん中に置かれた円とその周りを囲うように配置された円達の大小関係によって、真ん中の円の大きさが変わって見える錯視のことで、周りの円達が大きければ真ん中の円は小さく、小さければ大きく感じられます。他にも、同じ色同士であっても、周りの色が異なることで全く違う色に感じられるなど、脳の癖を調べた認知研究は数多く存在し、それらの知見は、デザインに広く取り入れられています。

優れたデザイナーは脳の癖をうまく利用している?

 現在、世の中には直感的な操作のしやすい製品が多く見られるようになりました。脳の癖に関する知見は、こうした操作のしやすさを実現する下支えとなっていますが、それだけではなく、デザイナーが自身のアイデアを他者により良く伝えるためにも活用されています。デザイナーはアイデアをスケッチに描き起こして伝えますが、イメージをより良く伝えるためにあえて写実的には描かず、一部を大きく誇張して描く、注目してほしい箇所以外は描き込みをほとんどしないといったデフォルメを意図的に行うことがあります。スケッチによる情報伝達が優れたデザイナーは、デフォルメを上手く使いこなし、相手に抱かせたい印象さえもコントロールできてしまうのです。

視覚認知研究のこれから

 近年、バーチャルリアリティ(VR)技術の発展に伴い、まさに自身が「その場にいる」といった臨場感を味わいながら、仮想空間に入り込む事が可能になりました。視覚認知研究では、この臨場感の認知メカニズムの解明に注目が集まっています。VR技術は、現在でも多岐にわたる分野で活用されていますが、社会へ更に普及することが見込まれています。臨場感に関する知見を活かして、デザイナーが仮想空間を設計する未来もそう遠くは無いかもしれません。

参考資料
1:エビングハウス錯視の例

この学問が向いているかも 認知科学

前橋工科大学
工学部 総合デザイン工学科 助教
赤間 章英 先生

メッセージ

 モノづくりに必要なのは、機能性や審美性を高める技術力だと考えられがちですが、一番大切なのは人に対する興味やリスペクトだと私は考えています。つまり、使い手の気持ちにどれだけ寄り添えるかが大事で、その際、単に感覚的なものに頼るのではなく、科学的な側面からアプローチするというのが、前橋工科大学総合デザイン工学科の面白さであり、強みです。
 学生のあなたには、最初から自分の知っている範囲だけに目を向けるのではなく、広くいろいろなことにチャレンジして自分の興味・関心の幅をひろげていってほしいと思っています。

先生の学問へのきっかけ

 きっかけは、友人が付けていたキーホルダーです。そのキーホルダーはデフォルメされたアニメのキャラクターだったのですが、友人は容易に元々のキャラクターとデフォルメされたキャラクターとを結びつけることができましたが、私はできませんでした。この経験を通じて、ヒトには形態的に全く異なるもの同士でも結び付けられる能力があることに気づき、視覚記憶に興味を持ち始めました。そこから、記憶における色彩と図形の関係性を探求し、質感や現実感の研究へと発展して、現在では臨場感の認知メカニズムの解明に取り組んでいます。

大学アイコン
赤間 章英 先生がいらっしゃる
前橋工科大学に関心を持ったら

 前橋工科大学は、全国的にも数少ない公立の工科系大学で、先進的で個性が光る幅広い学科が特徴です。小規模な大学ですが、少人数教育によるきめ細やかな指導や、演習・実習・実験などの体験的な授業が自慢です。暮らしやすい前橋市で、地域社会の発展と福祉の向上に貢献する技術者を一緒にめざしませんか。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

TOPへもどる