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講義No.11064

海底のヨウ素を調べて、地球の物質循環の謎を解く!

人間に必須な元素・ヨウ素

 ヨウ素という元素は、人間の健康維持になくてはならない必須元素であり、特に甲状腺の働きなどに作用します。主に魚や海藻から摂取されるので、内陸部に住む人はヨウ素が不足しがちであるとも言われます。ヨウ素は工業利用もされており、近年その需要が高まっています。ただ、資源としてヨウ素を産出する国は主に世界でも日本とチリくらいであり、地球上に大きく偏って存在しているのです。

生物の死骸が鉱床に

 日本で採掘されるヨウ素のうちの約8割は、千葉県を中心とした南関東ガス田と呼ばれる天然ガス産出地域のかん水中に、メタンガスとともに存在しています。ヨウ素は、「生物親和性」と言って、生物に取り込まれると体内に吸着しやすい性質を持っています。生物が死んで海底に堆積すると、微生物や地熱によって死骸は分解され、メタンやヨウ素が発生し、それらが長い時間をかけて局所的に濃集し、メタンやヨウ素の鉱床となります。

鉱床・資源の行く末を見る

 現在使用されている資源は、現在ある鉱床を掘り尽くしたら枯渇してしまうため、鉱床がどこでどのようにできるのかを知ることは重要です。そこで、ヨウ素が海底でどういう挙動をし、どこにたまっていくのかということを、東京湾のヘドロを調べて解明しようという研究が進められています。東京湾は閉鎖的な水域であるため、酸素が少ない状態になりやすい上に、生活排水などの流入によって、富栄養化し生物数が増えやすい状態にあります。その結果、ヘドロの中には通常の海水の何十倍ものヨウ素がたまることになります。そして、東京湾のヨウ素の蓄積を調べることで、現在そこで起きている物質循環のプロセスの一端を知ることができます。それは、現在使用されている資源がどういうプロセスで蓄積してきたのか、また何十万年後、何億年後という気の遠くなる未来に、資源がどう蓄積していくのかを知るためのヒントなのです。


この学問が向いているかも 海洋地球化学

東京海洋大学
海洋資源環境学部 海洋資源エネルギー学科 助教
尾張 聡子 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 私が取り組んでいる地球化学という学問は、地球を相手にする学問分野のため、地学、化学、生物、物理、数学と、理系科目全般の基礎的な知識がベースとなっています。こうした幅広い知識があると、物事をいろいろな視点で、いろいろな角度から見る力がつきます。
 この分野をめざす人は、高校の頃から、幅広い科目をしっかり勉強しておくことがとても大事です。机上の勉強に加えて、自分でフィールドに出て研究を遂行する学問でもあるので、頭だけでなく体を動かすこと、野外に出ることが好きな方は、ぜひ一緒に研究しましょう。

先生の学問へのきっかけ

 小さい頃は恐竜が好きで、今の研究とは興味の方向が違っていました。大学に進学して広い分野の講義を受けたことが、現在の研究につながっています。中でも卒論を書く際に、船に乗ってガスハイドレードを掘削・回収した体験は印象強く、普段見ることのない海底下の世界を自分の目で直接見ることに感動し、自分にしかできない経験をしていきたいと思うようになりました。また、博士課程の時に、国際プロジェクトに参加して世界のトップクラスの科学者たちと2か月間船上で生活し、共に議論した経験も、研究者になった大きなきっかけでした。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学院進学

大学アイコン
尾張 聡子 先生がいらっしゃる
東京海洋大学に関心を持ったら

 東京海洋大学は、全国で唯一の海洋にかかわる専門大学です。2大学の統合により新しい学問領域を広げ、海を中心とした最先端の研究を行っています。海洋の活用・保全に係る科学技術の向上に資するため、海洋を巡る理学的・工学的・農学的・社会科学的・人文科学的諸科学を教授するとともに、これらに係わる諸技術の開発に必要な基礎的・応用的教育研究を行うことを理念に掲げています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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