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講義No.11043

モノから考える実験心理学

錯視とヒト

 錯視は、ヒトが外の世界をそのまま知覚しておらず、脳の中で積極的に処理を行なった結果を示していると言えます。錯視を発見することは、視覚のメカニズムの新たな側面を見つけたことと同じ意味を持ちます。錯視を調べるためには、外の世界がどうなっているのかを詳しく知っておく必要があります。何を見ているのかわからないのに、それが錯視であるのか、錯視ではないのかを判断することはできない、ということです。錯視の中には、見えない部分に対しても「見ている(補完している)」錯視や、速すぎて「見えない」ものでも知覚に影響を及ぼす錯視もあります。錯視研究には、コンピュータはもちろんのこと、プログラミングやディスプレイ(特殊な例では高速プロジェクター)などの知識が重要となってきます。

自動運転とヒト

 現在、車の自動運転技術の開発が世界各国で進められています。自動運転には、レベル0からレベル5までの段階が規定されていて、レベル2の自動運転ではドライバーは基本的に運転操作をしませんが、安全に注意をしながら必要なときには運転できる状態を保っておかなければなりません。運転はしなくていいけれど、居眠りをしてしまうわけにもいかないという状況下で、ドライバーはどのようにして過ごすのが一番よいのでしょうか?ドライビングシミュレーターを使った実験の結果、ドライバーが同乗者と会話をすることが安全に役立つ可能性が示されました。

「モノ」と実験心理学

 上の二つの研究テーマは無関係のように思えるかもしれませんが、共通するのはどちらも「モノ」(映像や装置)に対するヒトの心理を対象としていることです。「モノ」の特徴をよく知っておくことはヒトの心理を解明することにもつながるのです。そして、「モノ」とヒトとのインタラクションを追究していくと、ヒトが「モノ」に対して何を感じ、どのような心理を持っているのかが、ユニークな形で浮かび上がってきます。


この学問が向いているかも 実験心理学、認知科学

新潟大学
人文学部 人文学科 准教授
中嶋 豊 先生

メッセージ

 高校生の頃は、文系・理系に関係なく、いろいろな分野の知識を吸収するようにしておくといいと思います。自分の可能性を狭めてしまわないように、食わず嫌いをせず、できるだけ幅広く学んでおくようにしましょう。
 私自身、大学の文系の学部で学んで卒業してから、理系の大学で研究員をしてきたという経験を持っています。いろいろな学問のつまみ食いをしておいた方が、将来きっと役に立つと思います。

先生の学問へのきっかけ

 中学生の頃に出会った面白い先生の影響で、日本史や考古学が好きだったのですが、錯視の世界にもずっと引かれていました。最初に錯視に関心を持ったのは、理髪店の赤白青の縞模様の看板が、回転するとなぜ上に昇っていくように見えるのか、という興味からだったと思います。大学の心理学研究室で、錯視をはじめとする人間の脳の視覚処理のメカニズムを研究していくうちに、モノに対する人間の心理についての研究に携わるようになりました。

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中嶋 豊 先生がいらっしゃる
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 新潟大学は教育面を最も重視し、学生が自らの専門を深く極めるばかりでなく、広い視野をもち、物事を総合的に判断する力を身につけること、及び実践と体験を通したきめ細かい教育を行うことによって、学生一人一人の個性を伸ばすことを目指しています。さらに、教養教育と専門教育を融合させた教育プログラムを提供し、特定の課題・分野の学習成果を認証したり、異なる学部の学生と教職員で構成されるグループが地域住民とのふれあいを通じて人間的成長を目指すなど、本学の理念である「自立と創生」に基づく学生育成を実践しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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