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講義No.11025

言葉は生きている~教科書だけでは学べない生の日本語とは~

教科書にない日本語

 日本語を母語としない人にとって、日本語は時に難解に感じます。それは文法や語彙(ごい)の問題に限らず、教科書に書かれている日本語と、実際の日本社会の中で使われている日本語が違っているケースが多いからです。例えば日本語のあいさつは、朝は「おはよう」、昼は「こんにちは」、夜は「こんばんは」ですが、実際には親しい人に「こんにちは」と言うことはまれですし、お昼に会っても「おはよう」と言うケースもあります。また、「こちらが●●の『ほうに』なります」といったぼかした表現もよく聞かれますが、これらは教科書的な日本語とはいえません。

生のデータから規則性を見出す

 言葉を研究対象とする言語学の中でも、社会の中で実際に使われている言葉を研究する分野が「社会言語学」です。研究対象は生の言語ですから、書物などに記されているものとは異なります。まずは実際の会話の様子を録音し、そのデータを文字に起こし、そこで語られている言葉はもちろん、「間」の長さや語尾の上がり下がり、うなずき、笑いといった非言語的な要素も正確に記録する必要があります。次に、そこで語られているのが日本語特有の表現なのか、また個人差には収まらない普遍的な言い方なのかなど、何らかの規則性を見出して、明らかにしていきます。

LINEでのやりとりも重要な研究対象

 対面での会話以外にも、LINEなどのSNSや、オンラインミーティングアプリでの会話の中でも、日本語の談話の新しいルールが生まれており、研究も進んでいます。こうした、日々変わり続ける日本語を分析・研究する意義は、学術的な面にとどまりません。普段の何気ないやりとりが誤解を生んだり、初対面の相手との会話で沈黙が生まれたりしてしまう、といったことは多くの人が経験します。その原因である談話のさまざまなメカニズムを解き明かし、明確にすることは、個人レベルでのコミュニケーションの質を向上させることにもつながるのです。


この学問が向いているかも 日本語学、社会言語学、日本語教育学

東北文教大学
人間科学部 人間関係学科 准教授
澤 恩嬉 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 大学の学部や学科を選択する際、どうしても職業との結びつきを強く意識しがちですが、どこを選んだとしても、そこでの学びは将来必ず役に立つので、安心してください。なぜなら、大学はさまざまな学問や研究分野に出会える場所であり、まだやりたいことが見つからない人も、そこで自分が好きなことや興味をもてることに出会えるはずだからです。そして、それらを自分なりに考え、疑問や課題を解決するために懸命に取り組むという経験こそが社会で求められることであり、どんな仕事に就いてもきっとあなたを助けてくれるでしょう。

先生の学問へのきっかけ

 生まれ育った韓国では、高校時代まで明確な目標がなかったのですが、大学進学時に漠然と外国語や通訳に魅力を感じ、日本語を学びはじめました。大学時代に留学生として来日し、日本で学ぶうちに、日本語の微妙なニュアンスを正確に伝えるには、教科書にはない言葉の周辺にある要素を理解する必要があると感じるようになりました。そのことから日本語や日本文化の研究をするようになり、現在は日本語での語りをはじめとする会話の分析、コミュニケーションといったテーマで研究を進めています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

日本語教師/旅行業/貿易会社取引業務/IT系人事/通訳など

大学アイコン
澤 恩嬉 先生がいらっしゃる
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 “自分らしさ”をのばし、人間性豊かな先生になる
 大学で学ぶための基礎を固め、専門教育へとつなげる「基礎教育科目」、教育・保育において必要な知識を修得する「専門教育科目」、教育や保育の現場で出会うさまざまな場面に応用できる、より専門的な知識と技術を修得する「専門発展科目」の三つの柱でカリキュラムが構成され、教育・保育のスペシャリストの養成をめざしています。
 また、学生一人ひとりの個性を大切にし、人間味ある先生となって子どもと関わり、未来を創っていってもらいたいと考えています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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