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講義No.11007

遺伝子をあやつり病気を治す 制御条件を調べる手法の開発

遺伝子のオン・オフを病気の治療に役立てる

 がんやアルツハイマー型認知症等の治療が難しい病気の中には、遺伝子の発現(オン・オフ)の異常が原因で引き起こされるものがあります。例えば細胞内のがん抑制遺伝子が発現しなくなると、がんになってしまうのです。がん抑制遺伝子の発現条件については現在研究が進んでいますが、解明されれば細胞を正常な状態に戻す方法や薬を開発できると期待されています。

遺伝子発現領域に結合している分子を調べる方法

 遺伝子発現のオンとオフを制御するためには、遺伝子発現調節領域と呼ばれる部分に結合している分子の種類や機能を明らかにしなければなりません。特定の遺伝子発現調節に結合している分子を見つける方法は、古くから開発が進められてきましたが、実施するのに長い時間がかかる、必ずしも生理的な条件下で結合している分子が見つかるわけではない等、課題が多くありました。

意味のある結果を得る可能性の高い手法の開発

 より簡単かつ生理的な条件下で遺伝子発現調節領域に結合している分子を検出するために、新たに開発した方法が「遺伝子座特異的クロマチン免疫沈降法(遺伝子座特異的ChIP法)」です。この方法では調査したい領域を丸ごと採取し、結合している分子が何であるかを知ることができます。また、実際に、細胞の中から結合分子が付いたまま遺伝子発現調節領域を取ってくることができるため、生理的な条件下で結合していることが保証されます。
 調べたい遺伝子発現情報が含まれている箇所だけを取り出すには、採取したい部分に印をつけますが、このとき使うのがクリスパー系等の人工DNA配列結合分子です。人工DNA配列結合分子を採取したいゲノム領域付近に結合させ、これを目印に染色体を切断することで、人工DNA配列結合分子が結合している領域だけを取ってくることができるのです。


この学問が向いているかも 医学、生命科学

弘前大学
医学部 医学科 教授
藤井 穂高 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 技術革新によって、これまでわからなかったことがどんどん解明される世の中になってきました。日本では新たな技術を利用する研究者は多いものの、海外に比べると技術開発をする人が不足しているのが現状です。研究を新たなステージに進めるためには、技術開発も重要なのです。
 生命科学の分野でも、新たな技術を生み出すための研究に携わることはできますし、発明家としてのマインドを持つ研究者の育成にも力を入れています。生き物が好き、あるいは技術に興味があるなら、ぜひ生命科学に足を踏み入れてください。

先生の学問へのきっかけ

 物理学や数学に興味があり、将来は科学者になりたいと思っていました。生物は暗記科目としてのイメージが強かったのですが、中学校の先生が遺伝子の構造などを深く解説してくれたことで、生物におもしろさを感じました。大学卒業後は免疫学を研究していましたが、よりミステリアスな分野の研究をしたいと思い、遺伝子発現調節機構の解析に取り組み始めました。解析中に偶然得た気づきを生かして、微量の核酸を増幅させる技術の研究もしています。実験で結果を出したときや新発見をしたときの気持ちの高まりが好きで、研究を続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学・研究機関研究員/医師

研究室
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藤井 穂高 先生がいらっしゃる
弘前大学に関心を持ったら

 国公私立大 合同進学オンラインイベント「夢ナビライブ2021Web in Autumn」に、藤井 穂高 先生が参加! 先生の講義ライブ動画を10月31日(日)までオンデマンド配信するほか、Zoomで先生に直接質問ができる「講義ライブ質問対応・研究室訪問」を10月2日(土)に実施。夢ナビライブは、600名以上の大学教授や200近い大学がさまざまなプログラムを実施する大型オンラインイベントなので、まずは「夢ナビライブ」で検索してください。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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