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講義No.10976

現象学から読み解く、フランスの詩人ポール・ヴァレリーの思想

詩人ポール・ヴァレリー

 20世紀フランスの詩人、ポール・ヴァレリーは、フランス語表現の可能性を追求するような非常に複雑で華麗な文体が特徴で、「ヨーロッパ知性の代表」とも呼ばれます。しかし、古典的な作風も影響したのか、彼の詩は後になって「形式が古くさい」「(師匠である)マラルメの二番煎じ」と酷評されることもあり、「時代遅れの詩人」とされた時期もありました。後にメルロー=ポンティという哲学者によって、再評価されることになります。メルロー=ポンティの哲学は、「我思う、ゆえに我あり」というデカルトの有名な思想とは対照的で、「精神」ではなく、「身体」に自分の基盤を移して、他者との関係を考え直すというものです。

メルロー=ポンティによる解釈

 「自分が森を歩くとき、木から自分が見られている」「自分がモノを触るとき、手はモノに触られている」。こうした自らの思想を、自分より37年も早く生まれたヴァレリーの詩や文章の中に発見したメルロー=ポンティは、著作の中でことあるごとにヴァレリーの言葉を引用しています。ヴァレリーの思想の断片は、彼の詩だけでなく、彼が残したノートや書簡にも書き残されていました。中には恋人に宛てたラブレターも含まれています。そうした書簡やノートが親族などによって次々に公開され、ヴァレリーは現在でもフランス文学において重要な研究対象になっています。

小さなヒント

 現代の日本に生きる私たちにとって、ヴァレリーやメルロー=ポンティの思想・哲学は難解です。その難解なヴァレリー研究においては、作品やノート、手紙に書かれたわずかなメモや表現が大きなヒントになることがあります。
 グローバル化で異文化への理解が進んでおり、西欧文化の中心ともいえるフランスの文化や言語、教育、ポップカルチャーについても関心が高まっています。さらに、ヴァレリーやメルロー=ポンティの思想・哲学に触れることで、フランスやヨーロッパの文学・哲学の奥深い部分を理解するきっかけとなるでしょう。

参考資料
1:フランスのバカロレアの国語の問題
2:子どもたちにさまざまことを問いかける『子ども哲学』

この学問が向いているかも フランス文学、国際教育学

大阪教育大学
教育学部 教育協働学科 教授
井上 直子 先生

メッセージ

 大学進学をはじめ、自分の進路を決めるとき、将来のことを考えて決めるのが一般的かも知れません。明確な目標がある人はそうすればいいと思いますが、まだ進路に迷っているなら、自分が現在好きなこと、興味をもっていることを優先してほしいと思います。なぜなら、世の中には、将来の損得だけにこだわっていては、見えない部分もたくさんあるからです。
 ぜひ「私はこれがしたい」「これをやっているときが楽しい」という、今の自分の気持ちに素直になって進路を選択し、学んでほしいと思います。

先生の学問へのきっかけ

 入学前は、中国哲学に興味をもっていましたが、哲学を学ぶためにフランス語を履修したところ、自分との相性がよかったのか、フランス語やフランス文学にのめりこむようになりました。また、当時教わったおしゃれなフランス人の先生には、フランスのケーキやワインをふるまっていただきました。ファッションや食に直接触れたことで、フランス文化により深い興味をもつようになり、博士課程ではフランスのモンペリエに留学しました。現在は大学でフランス文学の研究をしながら、フランスの論述教育についての授業も担当しています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

銀行員/旅行会社社員/公務員/教諭(高等学校)

大学アイコン
井上 直子 先生がいらっしゃる
大阪教育大学に関心を持ったら

 本学は、我が国の先導的な教員養成大学として、教育の充実と文化の発展に貢献し、とりわけ教育界における有為な人材の育成をとおして、地域と世界の人々の福祉に寄与する大学であることを使命としています。この使命を達成するため、実践的な教職能力を養う優れた教員養成教育を推進し、豊かな教職能力を持って教育現場を担える学校教員を育成するとともに、学術と芸術の多様な専門分野で総合性の高い教育を推進し、高い専門的素養と幅広い教養をもって様々な職業分野を担える人材の育成をめざしています。

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