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講義No.10939

漂着する「木材」と「マイクロプラスチック」

間伐材が海に流れ出る

 伊勢湾は愛知県と三重県に囲まれた海です。東側は渥美半島、西側は志摩半島がつき出しているため、外洋との水の交換が少ない半閉鎖性海域となっています。そのため、漂流物が湾内の沿岸に漂着しやすいという特徴があります。湾の奥には木曽三川と呼ばれる木曽川・揖斐(いび)川・長良(ながら)川が注ぎ込んでいます。その上流には長野県や岐阜県の林業が盛んな山間部があります。人工林では木を間引く「間伐」を行います。間伐で出た木材がそのまま放置されると、豪雨により川に流出し、それが伊勢湾に流れ出てしまうのです。

海の流れをシミュレーション

 流れ出た木材は湾内を漂います。流木は大きく重量があるため、養殖や漁業に直接被害を与えるほか、航行する船の邪魔になったりスクリューを壊したりします。流木を撤去するには多額の費用がかかるため、根本的な改善策を講じるためには、どの河川から出たものなのかを突き止めなければなりません。そこで、豪雨の日の湾内の水の流れをコンピュータでシミュレーションします。どの流域で雨がどれくらい降ったのかを分析し、季節風などの条件を加味しながら、事例ごとにシミュレーションすることで、流出元を推定することができるのです。

マイクロプラスチック問題

 近年では、海洋のマイクロプラスチックも問題となっています。伊勢湾で起きる直接的な被害としては、養殖の海苔の中に紛れ込んで品質を低下させる事例が報告されています。また、プラスチックは海洋を漂っている間に海水の汚染物質を吸着し、それを動物プランクトンなどの小動物が体内に取り込むことで、食物連鎖を通じて生態系全体に影響を及ぼします。マイクロプラスチックにもいろいろな種類があり、発生源が異なります。農業系、漁業系、工業系、生活系のマイクロプラスチックがあります。発生者に対策をしてもらうには、汚染の情報を知らせる必要があり、調査データは、新聞、テレビ、インターネットなどで積極的に発信されています。


この学問が向いているかも 環境情報学

四日市大学
環境情報学部 環境情報学科 教授
千葉 賢 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校での勉強がどのように役立つのかわからず、面白くないと思うことがあるかもしれません。でも、それを積み上げることで、実社会に出てから出会うさまざまな問題を解く力が身につきます。基礎は非常に大切です。焦らずコツコツと勉強してください。
 また、若いときから視野を広げるのは大切です。人間社会や自然の事柄に対して好奇心を持ち、アンテナを張って、積極的に知識を吸収してください。社会で行われる活動に参加して、いろいろな体験を積むのも、視野を広げるに大いに役立つでしょう。

先生の学問へのきっかけ

 中学生の頃にロケットエンジンに興味を持ち、薬品を購入して燃料を合成し、空地で燃焼実験をしたこともありました。大学では、本格的にロケットを学べる航空宇宙工学の分野に進んだのですが、サークル活動でスキューバダイビングを始めたことから、海にも興味を持つようになりました。現在は沿岸海洋の環境問題を専門としていますが、航空工学の一分野として学んだ流体力学の知識が役立っています。海洋の流れも同じ流体力学が関係しているからです。基礎を身に付けておくことが大切です。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

環境コンサル研究員/リサイクル企業社員/情報系企業技術者/ケーブルテレビ局地域情報調査員/大学教員再生可能エネルギー研究者

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千葉 賢 先生がいらっしゃる
四日市大学に関心を持ったら

 本学は、四日市市と学校法人暁学園との公私協力型方式の大学として、1988年、経済学部(経済学科・経営学科)の単科大学として開学しました。以来、地域に根ざした大学として順調な発展を遂げ、現在では、環境情報学部(環境情報学科)、総合政策学部(総合政策学科)の2学部2学科を擁しています。建学の精神「人間たれ」を精神基盤に、「世界を見つめ地域を考える」大学として、グローバルな感覚で21世紀の地域社会をリードする人材の育成を行っていきます。

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