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講義No.10933

当事者研究で自分を観察する

相手のことより、まず自分を知る

 ソーシャルワーカーとは、病気や障がい、老化などによって生活に問題を抱える人やその家族に対して支援を行う人のことです。支援を行うというと、「相手のことを知らなきゃ」と考えるかもしれませんが、実はまず自分のことを知ることが大切です。対人援助職の人は、対象者と関わるとき、自分がどんなときに怒るのか、涙を流すのかなどを知っておくことが重要です。ソーシャルワーカーは「道具としての自分」の特性を知り、研ぎ澄ますことが求められます。

当事者研究で自分を深く知り、他者を受容する

 自分を知るための手法として、「当事者研究」というものがあります。自分の苦労したことや苦手なことをグループ内で対話することで、自分自身に起こっていることを外に置いて眺める(外在化)するのです。これを「自己覚知(かくち)」といいます。例えば「私は人前で話すことが苦手です」と話したら、ほかのメンバーから「どのくらいの人数なら大丈夫?」「緊張すると体はどんな反応をするの?」などと尋ねられることで、自分に起こっていることを掘り下げていきます。こうした対話を行うことで、自分のことを深く知ると同時に、生きやすくもなります。参加した人の多くは「こんなことを話してもいいんだ」とほっとします。自分の苦労をみんなに知ってもらうことで、受け入れてもらえる安心感が得られ、その経験が実際に支援を行うときに相手を受容することにつながるのです。

精神医療や家庭でも使われる当事者研究

 当事者研究の手法は、さまざまな分野で使われています。精神医療分野では、発達障がいや統合失調症の患者さんが、どう感じているのか、どんなことに苦労しているのかを知る手がかりとして活用されています。また家庭内では保護者が子どもを理解するツールとして活用が始まっています。
 人を援助するとは、まずは自分を知ることから始まります。社会の大きな問題を解決するために、まずは当事者研究で自分自身の成り立ちに光を当てるのです。


この学問が向いているかも 精神保健福祉学

北海道医療大学
看護福祉学部 臨床福祉学科 講師
奥田 かおり 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 自分を大切にしましょう。日本の若者は周囲に気を遣いすぎて、感情を内に抑えているケースが多々あります。もっと自分の考えていること、感じていることを表現しても大丈夫です。
 2020年のデータによると、OECD(経済開発協力機構)とEU加盟国の中で、日本の子どもの幸福度は38カ国中20位とかなり低くなっています。若い人たちは国の宝ですから、もっと大切にされ尊重される文化になってほしいです。まずはあなた自身が自分のことを大切にいたわってあげてください。あなたはかけがえのない存在なのですから。

先生の学問へのきっかけ

 小学生の頃、不登校気味になり、「先生以外に相談できる頼れる人がいたらいいな」と感じました。その経験からカウンセラーをめざして、アメリカの高校・大学に進学しました。そこで「心理士は個人の内面を扱う仕事だけど、ソーシャルワーカーなら学校自体のあり方や先生の関わり方などを変えられるかもしれない」と考えました。また、アメリカで児童保護局とNPOが連携して児童虐待に対応しているのを見て感動したこともきっかけとなり、大学卒業後はニューヨークでソーシャルワーカーとして働き始めました。

大学アイコン
奥田 かおり 先生がいらっしゃる
北海道医療大学に関心を持ったら

 国公私立大 合同進学オンラインイベント「夢ナビライブ2021Web in Autumn」に、奥田 かおり 先生が参加! 先生の講義ライブ動画を10月12日(火)までオンデマンド配信するほか、Zoomで先生に直接質問ができる「講義ライブ質問対応・研究室訪問」を10月2日(土)に実施。夢ナビライブは、600名以上の大学教授や200近い大学がさまざまなプログラムを実施する大型オンラインイベントなので、まずは「夢ナビライブ」で検索してください。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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