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講義No.10877

「個人的」行動は実は個人の意思では決まっていない

社会問題化した「10代女性の望まない妊娠」

 イギリスでは1980年代から、「10代女性の望まない妊娠」が社会問題として取り上げられるようになりました。10代女性1000人あたり30人前後、国全体では9万人前後の10代女性が妊娠するという、ヨーロッパ諸国でも突出して高い数字が、何年間にもわたって続いたのです。
 10代で出産すると、母親は学校に通えなくなり、安定した仕事に就くことも難しくなります。結果として、生まれてきた子どもは貧困な環境で十分な教育を受けられないまま育つことになりかねず、福祉政策の破綻や犯罪増加が危惧されます。政府は性教育の義務化や避妊行動の啓発を進めましたが、大きな効果は得られませんでした。

問題解決のため「そもそも」の原因を追究

 一部の国を除き、「政策」が個人の領域にまで踏み込むことはありません。個人の思想や言動などの自由は、国のルールで守られているからです。ただし、それが「個人の行動まではコントロールできない」という、政策の限界にもつながっています。イギリスの場合も、まさにそうでした。事態が動き始めたのは、改革を重視するトニー・ブレア氏が首相に就任した1997年ごろからです。同首相は、10代の妊娠率が高い地域と貧困エリアが重なっていることに注目して、当該地域における教育環境や社会構造を調査することで、問題の背景にある要因をピックアップしたのです。

政策は明確な理由と対策があってこそ

 この政策は、問題のそもそもの原因を探り、10代の母親に対する生活支援、貧困地域における雇用調整や若者への助言、地域コーディネーターの設置など、総合的かつ複合的に進められました。試行錯誤はあったようですが、10代女性の妊娠件数は減少に向かっています。
 なんらかの対応策を推進するためには、単なる呼びかけではなく、根本的な原因は何か、それに対して具体的に何をするのかを総合的に考えなければなりません。イギリスの取り組みは、その好例と言えるでしょう。


この学問が向いているかも 社会学、教育学

専修大学
人間科学部 社会学科 教授
広瀬 裕子 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 インターネットに接続するだけで、あらゆる情報が簡単に入手できる時代になりましたが、その中であなたは、社会に対する「アンテナ」をきちんと張り巡らせていますか。
 日本はもちろん世界中で、さまざまな問題が起きています。それに対して、誰がどのような発言をしているのか、どうしてそのような問題が起きているのかを、自分なりに理解することが大切です。新聞を読んだりニュースを見たりして、人の意見を十分に理解しながら、自分自身の意見を人に伝える習慣を身につけておきましょう。

先生の学問へのきっかけ

 大学入学時、教育学を学ぶ学部を選んだことが、現在の研究を始めるきっかけだと言えます。国文学なら国語、英文学なら英語と、それぞれ高校までに習ったことの延長のように思えたので、それまで学んだことのない「教育学」に関心が湧いたのです。そうして教育学を学んでいくうちに、「教室の中で何をどう教えるか」ということも大事ながら、もっと大きな視点で、教育のあり方そのものをとらえるようになり、戦後の教育史や社会と教育との関係などについて研究を始めました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

地方公務員/NPO/福祉職など

大学アイコン
広瀬 裕子 先生がいらっしゃる
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 専修大学は、1880年(明治13年)に経済科と法律科からなる専修学校として創立されました。「経済科」は日本初の、また「法律科」は私学で初の高等教育機関でした。2021年に創立142年を迎える、日本でも屈指の伝統を持つ大学です。社会科学、人文科学、総合科学、の3系統、8学部20学科からなる社会人文系総合大学として、「自ら問題を見つけ主体的に解決する知力」と「人間力」、「倫理観」を持った人材を育成しています。まずはオープンキャンパスの大学紹介や模擬授業に参加して、大学の雰囲気を体感してみてください。

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