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講義No.10875

バイオテクノロジーで新しい花を作り出す!

産業振興だけではなく、絶滅危惧種の植物を守る

 観賞用の花のことを「花卉(かき)」と呼びますが、日本は世界でも有数の花卉生産国です。現在切り花や鉢植えなどで楽しまれている花卉のほとんどは、できるだけ大きく美しく、さらに長持ちするよう、さまざまな研究に基づく品種改良が加えられています。これらの研究は主に、農家の生産性を伸ばしたり、収益性の高い花卉を作り出したりして、花産業の振興をめざすものですが、「園芸学」の研究には、もう1つ大きな役割があります。それは、絶滅が危惧されている植物を次世代まで残せるようにすることです。

気候変動や病害にも強い品種を生み出す

 お彼岸の時期、お墓に供えたり、ドライフラワーの素材に使われたりする「リモニウム(スターチス)」という花があります。北海道では最も多く生産されている花卉なのですが、バイオテクノロジー分野の研究は十分に進んでいません。ただ、急速に進む温暖化や、それにともなう新たな病害などに耐えられる品種を開発しなければ、生産を維持することさえ難しくなります。そこで、リモニウムのDNA量を2倍にして、暑さや病気に強い品種を開発する研究が進められています。

生態系にとっても「花」は重要な存在

 日本の山野にはさまざまなユリが自生していて、その一部では絶滅が危惧されています。ユリは発芽から開花まで3年、種によっては6年かかり、また、ウイルス病におかされやすいなどの問題があります。それでも、花は生態系の一部を構成する重要な存在であり、「持続可能な未来」をめざすSDGs(持続可能な開発目標)の観点からも、種の保存に取り組まなければなりません。絶滅危惧種を保護するとともに、バイオテクノロジーを利用してそれらを品種改良に活用する取り組みがあります。
 園芸学を含む「農学」は、農業に従事する人のためだけの学問というイメージがあるかもしれませんが、農学の研究は、持続可能な未来を実現する上で非常に重要なものなのです。

参考資料
1:種間交雑(ユリ)
2:倍数性育種

この学問が向いているかも 園芸学、花卉園芸学

酪農学園大学
農食環境学群 循環農学類 准教授
森 志郎 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 あなたの毎日の暮らしと「農業」とが、どのように関わっているか考えたことはありますか。スーパーマーケットに行けば、さまざまな野菜や穀類、花卉(かき)まで、気軽に買うことができます。それらの産品が商品棚に並ぶまでには、生産農家はもちろんのこと、技術研究、流通、保存、商品陳列と、さまざまな職種の人たちが関わっているのです。
 あなたが「仕事としての農業」に関心がないとしても、農学を通じて身につく「疑問を追究する姿勢」「関心を広げる心」などは、必ず将来あなたの役に立つはずです。

先生の学問へのきっかけ

 私の実家は、花卉(かき)生産農家でした。両親はカーネーションの生産だけで、私を大学まで行かせてくれたのです。生まれ育った環境、花産業に対する想いがあったので、進むべき道に進んだと自分では思っています。
 日本の農業全体の中で、花の生産額はわずか数%ですが、花のある生活を好む国民性、昔から培われてきた生産技術などを考えると、花産業は非常に重要なものです。実際、市民公開講座などで花の栽培について解説すると、毎回たくさんの方が聴講に訪れてくれます。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

公務員(農業改良普及員)/教諭(高等学校)/農業協同組合/農業生産者/食品会社/農業資材会社営業/ホームセンター/青果物卸売業/種苗会社/園芸店

大学アイコン
森 志郎 先生がいらっしゃる
酪農学園大学に関心を持ったら

 北海道の政治・経済の中心都市札幌から快速電車で10分、本学はそこに132haの広大なキャンパスを構えています。世界の人口が増幅を続ける中、40%前後の我が国の食料自給率は、今後ますます問題となるのは確実です。そうした環境下にあって、大地を健やかに育て、健康な食物を育み、それを食して健やかな人が育つ。こうした「循環と共生」をテーマに掲げながら、学生一人ひとりの個性や能力を最大限に引き出せるような教育を実践することを使命と考えています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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