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講義No.10862

ナノスケールの世界で起こる現象を「光の針」で観察する

顕微鏡で観察できる世界には限界がある

 顕微鏡を使うと、肉眼では識別できない極小の世界を観察することができます。ただ、光学顕微鏡の場合、どんなに高性能なものでも、およそ1μm(マイクロメートル:1μm は1/1000mm)以下の物体は、観察することが難しくなります。光には波の性質があり、その波長は0.4~0.8μm程度であるため、光学顕微鏡で観察できる能力・分解能も、1μm程度にとどまってしまうのです。

「光の針」ナノ光プローブによる観察

 脳細胞のメカニズムを調べたり、電子部品などに用いられる半導体の内部で起こっている微細な現象を調べたりするには、光学顕微鏡よりさらに小さな、10~100nm(ナノメートル:1nmは1/1000μm)程度の分解能を持つ観察手段が必要になります。その方法の一つとして注目されているのが、「ナノ光プローブ」という技術です。ナノ光プローブとは、針のように鋭く尖らせた光ファイバーを金属膜で覆って先端に光を通す小さな穴を設けたものや、金属の針の先端に光を集中させることによって作り出す「光の針」です。観察したい物体に極小の「光の針」を近づけると、細胞や半導体で起こっているナノスケールの現象を高い空間分解能で調べることが可能になります。観察対象を画像でとらえる光学顕微鏡とは異なるアプローチで、極小の世界を観察することができるのです。

光のナノテクノロジーがもたらす可能性

 近年、電気・機械・医療など様々な分野がナノテクノロジーによって発展していますが、ナノ光プローブを用いた技術は「光のナノテクノロジー」と言えます。半導体中の電子の動きや発光現象をはじめ、従来の方法では観察することが難しかった分野での活用が、今後期待されています。
 粒子の性質と波の性質を併せ持つ光。ナノ光プローブで観察するのは、その両方の性質が絶妙に顔を出してくるような難しい領域です。私たちがいまだ知らない極小の世界の現象が、ナノ光プローブの技術によって新たに発見されるかもしれません。


この学問が向いているかも 光物理学、量子光学

山梨大学
工学部 先端材料理工学科 准教授
酒井 優 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 今はあらゆる情報がインターネットを使って簡単に手に入れられる時代です。一方で、間違った情報も少なくありません。正しい情報を見極められるように基礎をしっかり勉強しながら、上手にインターネットを活用して、自分が興味を持っているテーマをどんどん追究していってください。
 これから先、5年後、10年後には、社会も仕事もがらっと変わっているかもしれません。そうした変化にも柔軟に対応していけるように、今のうちから、いろいろな分野に対してアンテナを広げて接してほしいと思います。

先生の学問へのきっかけ

 学生時代、大学の研究室で、半導体や光について研究していました。そこは若い先生が運営するとても活気のある研究室で、私自身ももともとカメラなどが好きだったこともあり、その研究室を選びました。卒業後に就職した神奈川県の研究所で、ナノ光プローブを使った最先端の研究が行われていたことがきっかけで、この分野に携わるようになり、現在に至ります。ナノ光プローブはとても難しい技術ですが、いまだにわからないことの多いナノスケールの世界の光学現象を解き明かす、重要な鍵になりうると思っています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

光学部品設計/精密部品設計/自動車部品開発/ソフトウェア開発

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酒井 優 先生がいらっしゃる
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 山梨大学は、教育学部、医学部、工学部、生命環境学部からなる国立大学です。「地域の中核、世界の人材」というキャッチフレーズを掲げ、地域の要請に応えることができると同時に、世界で活躍できる人材の育成をめざしています。水素と燃料電池の教育研究の国際的拠点であるクリーンエネルギー研究センターは工学部と密接に連携しています。
 教育学部、工学部、生命環境学部のある甲府キャンパスと医学部キャンパスは離れていますが、1年次生は全員が甲府キャンパスで基礎学力の修得と人格の陶冶をめざした全学共通教育科目を履修します。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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