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講義No.10852

植物の生き残り戦略に学び、新薬を作ろう!

なぜ、“ヒト”は植物を薬として利用するのか?

 世界中で用いられる医薬品の半数は、植物などの自然界から得られる物質を元として創られています。特に、“ヒト”は数千年前から、植物の根や葉などを薬(生薬)として利用してきました。では、なぜ、“ヒト”は植物を薬として利用してきたのでしょうか? その理由の一つは、植物が厳しい環境や生存競争を生き抜くための道具として、“ヒト”が思いもつかない多種・多様で複雑な成分(化合物)を作りだし、それらの化合物の中に“ヒト”にとって思いがけない効果を示すものがあったためと言えます。このように、医薬品開発において植物は魅力的な素材の一つであると考えられています。

薬用植物・薬用食品が生産する物質とは?

 医薬品の元として期待される植物として、食用であり薬用として利用される薬用植物・薬用食品が挙げられます。その代表的な例として、ネギ属植物であるタマネギ、ニンニク、ネギなどがあります。タマネギは、動物などの外敵によって植物細胞が傷つけられると、身を守るために瞬時に、涙を流させる刺激性の化合物、すなわち、“催涙物質”を生成します。この催涙物質は、細胞が傷つけられた際、細胞の中で別々の場所に保管されているアミノ酸と酵素と呼ばれるたんぱく質が反応し生み出されます。同じようなメカニズムで、ネギやニンニクも植物細胞が傷つけられると、アリシンという化合物を生成します。アリシンは、化学的に不安定でありそのままの形では医薬品として利用できませんが、抗がん作用や抗ウイルス作用など多様な活性を示す化合物として知られています。

植物の生き残り戦略に学ぶ医薬品開発

 現在、がんや新型コロナウイルス感染症に対する新たな治療薬の開発が、植物から得られる化合物を元として試みられています。植物を用いた医薬品開発には、植物の巧みな生き残り戦略を理解し、植物が作りだす化合物の生成過程を学び、化学および生物などの知識と技術を組み合わせることが重要となります。


この学問が向いているかも 薬学、生薬学、化学

京都薬科大学
薬学部 薬学科 創薬科学系 生薬学分野 准教授
中村 誠宏 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 「将来、何をしたら良いか分からない」「一歩を踏み出したいけれど、なかなか前へ進めない」。そのように思っている人でも、「周りの人の役に立つ仕事がしたい!」「周りの人を助けることがしたい!」と思っている人は多いと思います。薬学部は、“薬”に関する知識・技能を学び、周りの人の人生により良い貢献ができる多様な職種に就くことができます。「化学に興味がある人」「人と接することが好きな人」、ぜひ薬学部を目指してみませんか? きっと、やりたいことが見つかると思います。

先生の学問へのきっかけ

 小学生の時に、紫キャベツの水溶液に酸やアルカリを加えると色が変化するという化学実験を経験して、化学に興味を持つようになりました。大学在学中は、天然由来物質を、簡単な構造をもつ有機化合物から1つ1つ組み立て作りあげていく研究(有機合成化学研究)に熱中しました。また、ヒトが思いもつかない複雑な構造をもつ化合物を植物が作るという事実を知り、その不思議さにのめり込みました。現在、植物が生産する化合物を用いて、これまでにない新たな構造を有する抗がん薬や抗ウイルス薬の開発を進めています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

製薬会社・化粧品・食品会社などの研究開発・販売・学術社員/病院薬剤師/薬局薬剤師/大学職員/薬務行政官や衛生試験場などの地方公務員

大学アイコン
中村 誠宏 先生がいらっしゃる
京都薬科大学に関心を持ったら

 京都薬科大学では、「愛学躬行」を建学の精神とし、2014年に創立130周年を迎えました。薬の専門家として質の高い薬剤師を養成し、高度化・多様化が進み安全・安心の医療が求められる中、真に社会に貢献しうる人材を目指し、問題発見、問題解決型の教育に力を注ぎ、Science(科学)、Art(技術)、Humanity(人間性)のバランスのとれた人材育成します。そして、学術研究の推進とともに、高度の専門的能力や研究能力を有する薬剤師であるファーマシスト・サイエンティストを養成します。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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