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講義No.10849

子どもの権利を守るために親権のあり方を考える

両親の離婚で一番損をするのは子ども

 日本では、未成年の子どもがいる夫婦が離婚するときには、父親と母親のどちらが親権を持つかを決めなければなりません。「単独親権」と言われる制度です。それまで父親と母親の2人が持っていた権利・義務を、急に片方の親が失うのです。親権を失った親は通常、子どもと月に1回程度の面会交流を継続しながら離れて暮らし、養育費を送ります。しかし中には、面会交流をさせない親や、養育費を支払わない親がいます。近年問題になっているのが、そういった対応をしてもまかり通ってしまうこと、強制力を持った制度がないことです。一番損をするのは、子どもです。

日本が甘いのか、海外が厳しいのか

 日本以外の先進国は、離婚後も両親が親権と義務を持ち続ける「共同親権」を原則としています。単に両親の権利が守られるというだけにとどまらず、子どもの権利も守られます。例えばアメリカでは、養育費を支払わない、面会交流をさせない親は、制裁金や拘禁を科せられます。これは厳しい措置でしょうか。養育費も面会交流も、子どもの権利を守るために欠かせないものであるはずです。根底には、離婚する親の都合は子どもには関係ないという考え方があります。

あらわになった課題を社会の問題として考える

 社会や価値観の変化などにより、日本でも離婚が増加傾向にあります。それにともない、養育費や面会交流だけでなく、親権の争い、子どもの連れ去り、虐待、夫婦別姓の是非など、さまざまな問題があらわになってきています。1990年に発効された国連「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」には、「児童の最善の利益が主として考慮されるものとする」という条文があります。同条約を批准している日本は、果たしてそれを実践できているでしょうか。1つひとつの家族、そして子どもたちを守るため、「家族法学」ではこうした問題を民法の中で考えていきます。


この学問が向いているかも 法学、家族法学

関西学院大学
法学部  教授
山口 亮子 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 法律がおかしいと感じたとき、法律を変えるためには、最高裁判所で違憲判決が下るか、国会での審議による立法が必要です。これだけ聞くと大変なことのようですが、おかしいと声をあげることや、投票に行くことから始まるわけですから、難しく考える必要はありません。あるいは、身近なルールも自分たちで考え、変えていくことも必要です。法学部では、社会の問題として法律と対峙(たいじ)します。個人の問題としてだけでなく、社会の問題として考えることが、将来の誰かを救うのです。そしてその「誰か」は、あなたかもしれません。

先生の学問へのきっかけ

 女性であることで差別された経験はありませんでしたが、女性が男性より不利だということは、幼い頃から肌で感じていました。平等や人権といった問題への関心と、生涯働き続けたいという気持ちがあったので、法学部進学を選んだのはごく自然な流れでした。その後、「児童の権利に関する条約」の批准によって90年代に国内で議論が活発化し、そこに強く引かれたことが、現在の道に進んだ一番大きなきっかけです。これからも、個人の人権の確立をはじめとして、子どもが置き去りにされない法律の整備のため、研究を続けていきます。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

公務員(裁判所事務官、家庭裁判所調査官、地方自治体職員、国税専門官、警察官)/司法書士/金融/教諭(小中高校

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山口 亮子 先生がいらっしゃる
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 スクールモットーである"Mastery for Service"は、「奉仕のための練達」と訳され、関西学院の人間として目指すべき姿を示しています。1889年にアメリカ人宣教師W.R.ランバスによって創立された関西学院は、このスクールモットーを体現する、世界市民を育むことを使命とし、現在、関西学院の3つのキャンパスでは、約2万人の学生が個性あふれる11学部で学んでいます。さらに2021年度4月から新設4学部として、理学部、工学部、生命環境学部、建築学部での学びがスタートします。

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