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講義No.10841

多様化する社会に合わせて変わる「民法」

自由と平等を基本原則として

 民法とは、自由と平等を基本原則として、日常的な取引や契約などを規律する市民のための法律です。そのため、市民の意識や生活様式の変化に合わせて改正されていきます。
 「相続」を見てみましょう。遺産相続のために遺言状を書いても、その通りに相続できないことがあります。例えば、友人に全財産を与えると書いて家族の相続分がゼロになったとき、民法で規定された遺留分を請求すると、友人は全財産は、相続できないのです。自由という原則からは、自分の遺産は誰に譲っても構わないはずですが、家族が最低限確保できる財産として遺留分が規定され、一定の割合の財産は家族が取得できることになっています。

時代背景に合わせた法改正

 民法が制定された明治29年は平均寿命が40~50歳であり、既婚男性が亡くなった場合、残された家族は幼い子どもと稼ぎの少ない妻となることが多かったことから家族を保護する観点が強く、また家制度の時代であるために先祖から伝えられた財産を外に出さないという考えがあったのです。遺留分の制度は平成30年に大きな改正が行われました。現代は平均寿命が80歳を超え、遺族である子どもはほとんどの場合成人です。ともに収入のある夫婦が増え、残された家族を守るという観点は薄らいできました。介護の担い手は家族から福祉サービスに移り、最後にお世話になった介護者や施設に財産を与えたいと望む人も増えています。このような時代背景に合わせ、遺言状を書いた本人の意思を尊重する流れに合わせて民法が改正されたのです。

社会を反映する改正

 現在の日本では夫婦別姓が選択できず、離婚時には夫婦どちらかが親権を取得する単独親権です。一方で世界を見れば、結婚後も別姓が選択でき、離婚後も夫婦共に親権を持てる共同親権が制度化されている国もあります。多様化・グローバル化する社会に適合するように、民法はこれからも変わり続けるでしょう。その議論のためには、現代の人々の意識を敏感に察知し、研究を続けていくことが必要です。


この学問が向いているかも 法学、民法学

大阪大学
法学部 法学科 教授
青竹 美佳 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校では、やらなければならないことが多く自由な時間が少ないかもしれません。大学では、強制されることが少なくなり、やりたいことを自分で選択して自由に行動できる機会がずっと増えます。勉強も、興味のある学問領域を選べます。正解は必ずしも1つではないことが多く、さまざまな可能性を考察していくことで、学ぶことがより楽しくなるはずです。
 大学での活動は、将来に直結します。自分が何に興味を持っていて、どんな才能があるかを考え、将来の自分に対する夢を膨らませましょう。

先生の学問へのきっかけ

 当時の法学部の同級生の多くは司法試験を受けて弁護士・裁判官・検察官になることをめざしていました。でも、私は司法試験を受けるよりも、民法そのものをもっと勉強したいと思うようになっていました。それは、法学部の3年生の時に選択したゼミがきっかけでした。ゼミで、民法の学説の対立や他国の民法との比較による分析、裁判所の立場について先生からお話を聞き、民法の難しさや奥深さを学びました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

弁護士/裁判官/検察官/裁判所書記官/裁判所調査官/公務員/行政書士

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青竹 美佳 先生がいらっしゃる
大阪大学に関心を持ったら

 自由な学風と進取の精神が伝統である大阪大学は、学術研究でも生命科学をはじめ各分野で多くの研究者が世界を舞台に活躍、阪大の名を高めています。その理由は、モットーである「地域に生き世界に伸びる」を忠実に実践してきたからです。阪大の特色は、この理念に全てが集約されています。また、大阪大学は、常に発展し続ける大学です。新たな試みに果敢に挑戦し、異質なものを迎え入れ、脱皮を繰り返すみずみずしい息吹がキャンパスに満ち溢れています。

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