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講義No.10813

海の生態系に何が?小さな藻の視点から解決策

食物連鎖の要は植物プランクトン

 地球温暖化など環境の変化は海の生物にも影響を及ぼしています。特に食物連鎖の土台となる植物プランクトンへの影響は大きく、しかも食物連鎖の上位の生物(魚や貝)の劇的な変化につながります。その現状調査と解決策の提案・実行のための3つの取り組みを紹介します。
 1つ目は瀬戸内海での取り組みです。瀬戸内海では、海への排水の浄化により海がきれいになりすぎて、植物プランクトンが増えないという問題が起こっています。その結果、食物連鎖が小さくなり、貝や魚などの漁獲量が減っています。海底付近には植物プランクトンのタネがあり、その増殖に必要な栄養が豊富にあるので、海底水を光が届く水深に巻き上げる装置を試作し、かきの養殖現場で使用しています。

世界への赤潮の拡散を防ぐ

 植物プランクトンが増えすぎると困ることもあります。赤潮です。世界の国々に日本から赤潮の原因となるプランクトンが運ばれています。船の海水タンク(バラストタンク)によるこれら外来種の伝搬は世界的に大きな問題となっています。バラストタンクの生物を処理する装置の搭載が、全ての外航船舶に義務化される予定ですが、タンク内の生物が基準値以下に処理されたか調べる方法がありません。そこで企業と連携して、プランクトンが処理されたか簡単に調べる装置が作製されています。

貝を使ってサンゴを増やす

 3つ目は沖縄のサンゴ礁です。温暖化でサンゴ礁が減っています。水温が高くなると、サンゴの共生藻である褐虫藻(かっちゅうそう)が減り、白化(はっか)と呼ばれる環境破壊を起こします。崩壊したサンゴ礁の復活には褐虫藻が必要ですが、サンゴ礁自体がなくなると褐虫藻が供給されず、サンゴの幼生も定着できなくなります。
 ところがサンゴと同じように褐虫藻を持つシャコガイは、フンとして生きた褐虫藻を大量に排出し、その褐虫藻はサンゴの幼生に取り込まれます。この発見を生かして、シャコガイをたくさん育て、自然の力を生かした白化から回復しやすいサンゴ礁を作り出そうとしています。

参考資料
1:植物プランクトンは海の生態系の根幹
2:植物プランクトンは小さくても精巧、自然のアート

この学問が向いているかも 海洋学、環境学

広島大学
生物生産学部 水圏統合科学プログラム 教授
小池 一彦 先生

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先生がめざすSDGs
メッセージ

 私の研究はフィールドワークが中心です。海の生態系には本当にたくさんの要因が影響し、その複合結果として生態学的現象が現れます。海水の流れ(物理)や成分(化学)、気象、生物の遺伝子など、どれひとつ無視しても生態系を語ることはできません。
 一つひとつの知識を各分野の専門家のように掘り下げる必要はありませんが、幅広い知識は必須です。また現場の人々の声を聞くためには、専門分野以外の知識やコミュニケーション術も必要です。高校生のうちに幅広い知識を身につけ、たくさんの人と話す機会を得てください。

先生の学問へのきっかけ

 小さな頃から海で遊ぶのが好きでした。それが高じて水産系の大学に入学し、大学の長期休暇には沖縄県の水産試験場でアルバイトをしていました。当時の沖縄のサンゴ礁は本当にすばらしく、仕事が終わると暗くなるまで海でスノーケリングをしていました。海で遊ぶことを仕事にできると、不純な動機で海洋研究者になりましたが、あの頃見た美しいサンゴ礁がなくなり、また瀬戸内海の現場の漁業者と話す度に、このままでは漁業が無くなってしまうと危機感を募らせ、それが今の研究モチベーションになっています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

国家・地方公務員(水産)/環境アセスメント/水産・海洋研究所

研究室
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小池 一彦 先生がいらっしゃる
広島大学に関心を持ったら

 広島大学は社会に貢献できる優れた人材を育成し、科学の進歩・発展に貢献しつつ、世界の教育・研究拠点を目指す大学です。緑豊かな252ヘクタールという広大な東広島キャンパスを抱え、また、国際平和文化都市である広島市内等のキャンパスを含め、12学部、11研究科、1研究所、大学病院並びに11もの附属学校園を有しています。 新しい知を創造しつつ、豊かな人間性を培い、絶えざる自己変革に努め、国際平和のために、地域社会、国際社会と連携して、社会に貢献できる人材の育成のために発展を続けます。

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