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講義No.10806

イルカには音の世界が広がっている

超音波を聴き、発する

 イルカのいる海の中には波浪や雨の音、生物の音などさまざまな音が存在し、水中で音は空中の4.5倍の速さで非常に遠くまで届くことから、音の世界が広がっています。音を聞き取れる周波数の範囲「可聴域」は、ヒトが20ヘルツから20キロヘルツなのに対し、イルカは数百ヘルツから150キロヘルツ程度と幅広く、超音波を聴き、発することもできます。イルカは超音波を出して、はね返ってくる反射波によって物体の形や大きさなどを判別するエコロケーション(反響定位)も行っています。

音で仲間との結束を維持する

 イルカは光がほとんど届かない海で、どうやって群れとしてのまとまりや母子の結束を維持しているのでしょうか。それは、個体に特有の音タイプやグループに特有の音タイプを鳴き交わしているのです。鳴き交わしに使う音タイプやそれに載っている情報は種によって異なります。例えばバンドウイルカはホイッスルという口笛のような音を使い、カマイルカは数種類のパルス音が繰り返される一続きの音を使っています。また、ハンドウイルカやシロイルカは個体特有の音タイプを持っていますが、シャチやマッコウクジラではグループメンバーが数種類の音タイプを共有しています。社会や生息環境などさまざまな要素が関わってイルカの多様な音が進化してきたと考えられますが、その進化の道筋はまだまだわかっていません。

人間が生み出す騒音の影響

 人間がイルカやそのほかの海洋生物に与える影響も調べる必要があります。海洋環境は今、騒音に満ちており、船の音や地震探査、風力発電、掘削、ソナーなどが原因です。これらの騒音の周波数の範囲と、鯨類や鰭脚(ききゃく)類、魚類などが発したり聴いたりする周波数の範囲が重なっています。騒音による聴覚障害や、ストレス、コミュニケーションの範囲が狭まるなど、さまざまな影響が報告されており、影響評価を行うことが重要となってきています。


この学問が向いているかも 海洋科学

東京海洋大学
海洋資源環境学部 海洋資源エネルギー学科 助教
三島 由夏 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 私はイルカの音に関する研究をしています。イルカの中には自分の音タイプを持つ種、仲間と数種類の音タイプを共有している種、母系の安定した社会を持つ種、単独で生活する種など、さまざまなコミュニケーションスタイルや社会があります。個体とグループの関わりから、ヒトとの類似性を感じることもあります。イルカと向き合うことは、ヒトを理解するためにも重要だと考えています。
 地球上には多くの動物がいて、あなたの興味関心はさまざまでしょう。イルカに興味がありましたら、一緒に研究してみませんか。

先生の学問へのきっかけ

 中学生のころ、水族館でイルカのショーを見て「イルカってすごいなぁ」と心奪われました。あの時の感激が、イルカの研究を始めたきっかけです。高校時代に東京海洋大学のオープンキャンパスに参加してイルカの音を聞かせてもらい、「イルカの音の研究をやってみたい」と思い進路を決めました。学位取得後は他大学で研究していた時期もありますが、イルカ一筋。初心を貫き、今は母校で研究を続けています。研究を重ねるにつれ、イルカの世界を理解したいという思いが募るばかりです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学院

大学アイコン
三島 由夏 先生がいらっしゃる
東京海洋大学に関心を持ったら

 東京海洋大学は、全国で唯一の海洋にかかわる専門大学です。2大学の統合により新しい学問領域を広げ、海を中心とした最先端の研究を行っています。海洋の活用・保全に係る科学技術の向上に資するため、海洋を巡る理学的・工学的・農学的・社会科学的・人文科学的諸科学を教授するとともに、これらに係わる諸技術の開発に必要な基礎的・応用的教育研究を行うことを理念に掲げています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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